研究課題/領域番号 |
21K21264
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
李 ミンジョン 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 助教 (50907227)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | メカノセンサー / 骨格筋 / 細胞核 / メカニカルストレス |
研究実績の概要 |
骨格筋は筋収縮活動により生涯に渡って高いメカニカルストレスに曝され,メカニカルストレスの増減に対する高い量的・機能的可塑性を有する.しかし,骨格筋においてメカニカルストレスを感知し,細胞内シグナルへ変換する機構についてはまだ明らかになっていない.そこで本研究では,力学的感受性が高いオルガネラである細胞核に注目した.メカニカルストレスに対する骨格筋の細胞核の変形が骨格筋の可塑性を導く引き金であるかを明らかにすることが本研究の目的である. 培養筋菅細胞におけるストレッチ性筋肥大モデルを用いて,ストレッチによる細胞核の変化を観察し,遺伝子の転写領域が筋肥大の表現型を反映するかを検討するために,2021年度はまず実験系を確立することを試みた.当初は2次元培養筋菅細胞のみを用いる計画だったが,より生体に近い実験モデルを構築するために3次元培養筋も行なった.一方で,3次元培養筋にストレッチ刺激を与えるスタンダードな方法が確立されていないため,実験に必要な器具を自作し,3次元培養筋の肥大を誘導する条件検討を行なった.本研究成果では,当初計画した骨格筋の細胞核の観察および遺伝子の転写領域の検討までには達成できなかったが,効率的な実験モデルを作製したため,次年度はより迅速に研究を展開することができると考える.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
3次元培養筋を用いたストレッチ誘導性の筋肥大モデルを確立するため,必要な実験器具の開発に様々な試行錯誤を経た.現在は作製した実験モデルを用いて実験を実施中であり,細胞核の形態と遺伝子の転写領域の変化を検討する準備を行なっている。
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今後の研究の推進方策 |
3次元培養筋におけるストレッチ誘導性の筋肥大モデルを用いて,共焦点顕微鏡下で核膜, ユークロマチンとヘテロクロマチンを観察し,転写領域をATAC-seq法により検討することで,ストレッチ刺激による細胞核の変形と遺伝子の転写パターンの変化が筋肥大を反映するかを明らかにする.さらに,細胞核へのメカニカルストレスを遮断し,ストレッチ性筋肥大の抑制を検証する.細胞骨格,核ラミナ,LINC複合体関連因子をshRNA導入及び微小管抑制剤の処置を行い,ストレッチによる筋肥大の表現型を検討する.
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