研究課題/領域番号 |
21K21283
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
木谷 裕紀 九州大学, 経済学研究院, 助教 (40855897)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | 不完全情報ゲーム / 完全情報ゲーム / 情報の不完全度 |
研究実績の概要 |
完全情報二人ゲームにおいては,(計算リソースが十分にあれば)お互いの最適な行動およびその結果どのプレイヤが勝つかということが計算可能であるが,不完全情報ゲームにおいてはそれができない.本研究では同一ルールのゲームをそのゲームの「情報の不完全さ」を変えながらゲームを解析することにより,不完全情報ゲームに内包される「不完全情報であるが故の難しい要素」の評価を行う.
1月に公開された本研究課題の成果である「Modeling Imperfect Information TANIHNMIN with structural Oracle」は相手に関する情報が全く無い不完全情報二人ゲーム「単貧民」において,「オラクル」という形で相手に関する情報の一部が与えられたときのゲームの性質を研究した成果をまとめた論文である.本研究では,大貧民の簡易版ゲームにおいて,相手の手札に関する情報として,「すべて公開」「手札の枚数のみ公開」「すべて非公開」などの複数の情報公開に関する段階の時に最適な戦略がどのように変わるか解析したものである.本成果はゲームにおける最適プレイの文脈の観点においては,完全情報ゲームと不完全情報ゲームは完全には二分ができず,情報の不完全度が小さい場合は不完全情報ゲームであっても,完全情報ゲームと同じように最適プレイができることを示している.この研究成果をはじめとして,本年度はいくつかの完全情報ゲームに対して,実質的に最適プレイをするために使っている情報は何であるか?あるいはその情報量を削減できないか?ということに焦点をあて,研究を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
情報の不完全度に基づく成果として執筆した成果「Modeling Imperfect Information TANIHNMIN with structural Oracle」が査読付き論文誌に採択され公開されるなど,情報の不完全度の変化に応じて最適プレイが可能か否かに対する一定以上の検証ができている.
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今後の研究の推進方策 |
今年度は今まで検証を行ってきたゲームを不完全度を変えて最適プレイがどう変わるかの検証の他,完全情報ゲームに対するより必要情報量の少ない最適プレイの検証を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い,1月に予定していた国際会議が延期となり,来年1月の開催となった.これに伴い当該学会で使用予定の旅費に関しては2022年度に用いることにする. また,その他2021年度に予定していた対面での研究打ち合わせは全てキャンセルとなってしまったが,本年6月から少しずつ再開を行い,計画通りの執行を行う予定である.
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