研究課題
研究活動スタート支援
本研究では,IoT機器において大きな面積を占める,無線給電機能と無線通信機能について,両者で回路構造の一部を共有することで,センサデバイス全体の小体積化を図る構造を提案した.無線通信回路は通常,電磁波の生成に必要な発振回路が大きな電力を消費する.一方,提案手法は,発振回路を使用せずに,情報をやり取りする機構を開発することで,低消費電力化を実現した.提案手法をシミュレーションと実機で評価したところ,小体積化と無線通信の低消費電力化を両立可能なことが明らかになった.
回路とシステム
従来の無線通信の研究は先行研究に対して性能改善を繰り返す手探り的な研究であり,非効率的であった.一方で本研究は,電磁理論と回路理論に基づいて,通信回路の性能限界を解明しようと図るものである.本研究期間内で,理論に基づいて,体積の大きな回路や消費電力の大きな回路を利用せずに無線通信が可能であることを示した.今後,本研究を進め,複数の回路について理論的な性能限界を解明することで,世界中の小体積無線通信回路の研究に対して,回路設計の技術的指針や,目標性能の基準を示すことができる.