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2021 年度 実施状況報告書

偏微分作用素環上の数式処理を用いた非線形システムの推定・制御器設計理論

研究課題

研究課題/領域番号 21K21285
研究機関大阪大学

研究代表者

庵 智幸  大阪大学, 情報科学研究科, 助教 (00908410)

研究期間 (年度) 2021-08-30 – 2023-03-31
キーワード非線形システム / Hamilton-Jacobi方程式 / 数式処理 / D加群 / 偏微分方程式
研究実績の概要

本研究の目的は,偏微分作用素の数式処理という新たな視点・方法論の導入による非線形制御・推定器設計理論の構築である.偏微分方程式からその本質的な情報を抜き出した概念であるD加群と呼ばれる概念を用いることで,理論的には問題の本質のみに着目した議論の展開が可能となり,また本質を変化させない範囲で利用できる自由度を網羅的に活用することで,アルゴリズム設計をより系統的に行える可能性がある.
本年度の研究計画では,非線形システム制御の分野に現れる様々な偏微分方程式を基に,解くべき問題のD加群による定式化を行う予定であった.
これに対し本年度では,非線形システムに対する様々な問題に現れる重要な偏微分方程式であるHamilton-Jacobi方程式(HJ方程式)を対象とし,その解を定める第一積分と呼ばれる関数が満たすべき条件式について,微分作用素の数式処理という観点から考察を行った.具体的には,ハミルトン関数が満たすパフ系と呼ばれる偏微分方程式の解空間が有限次元ベクトル空間であるという性質を利用して,第一積分を探す問題を有限次元ベクトルの決定問題へと帰着させた.この決定問題の解となるベクトルが存在すれば,所望の第一積分はパフ系を解くことで容易に求めることが可能である.この成果を発展させることで,幅広い非線形システムに対して,HJ方程式を機械的に解けるようなアルゴリズムの開発や,その応用による非線形性を大域的に考慮した制御器・状態推定器の開発が期待できる.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

HJ方程式という非線形システム制御における重要な方程式に対し,完全な解法の提案にまでは至っていないものの,容易に解ける問題へと帰着させる方法について新たな知見を得ることができており,研究の進捗状況はおおむね順調と言える.

今後の研究の推進方策

HJ方程式の新たな解法の提案に向けて,本年度の成果をもとに,得られるベクトル決定問題が解を持つ条件や,その条件を満たすパフ系の導出方法などを検討する必要がある.また,Lyapunov方程式など,非線形システム制御におけるHJ方程式以外の重要な偏微分方程式に対しても同様のアプローチを検討していく.

次年度使用額が生じた理由

国際学会参加のための旅費を計上していたが,新型コロナウィルスの影響でオンライン開催となったため旅費が不要となり,繰越金が生じた.次年度における成果発表のための学会参加費,論文投稿費や,研究資料拡充のために使用する予定である.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2022 2021

すべて 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] ホロノミックなハミルトン関数に対するハミルトン・ヤコビ方程式の一解法2022

    • 著者名/発表者名
      庵智幸
    • 学会等名
      第9回計測自動制御学会制御部門マルチシンポジウム
  • [学会発表] ホロノミックなハミルトン関数に対するハミルトン・ヤコビ方程式の解法に関する一検討2021

    • 著者名/発表者名
      庵智幸
    • 学会等名
      第64回自動制御連合講演会
  • [学会発表] Bayesian filtering for nonlinear stochastic systems using holonomic gradient method with integral transform2021

    • 著者名/発表者名
      Tomoyuki Iori and Toshiyuki Ohtsuka
    • 学会等名
      The 60th IEEE Conference on Decision and Control
    • 国際学会

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公開日: 2022-12-28  

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