研究課題/領域番号 |
21K21290
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
南川 智都 東京都立大学, 経営学研究科, 助教 (80911700)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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キーワード | 離散最適化 / ジャンプシステム / アルゴリズム |
研究実績の概要 |
本研究ではM凸関数最小化問題およびその関連問題について,局所最適解が得られない状況における高性能なアルゴリズムの構築を目指している.本年度は昨年度に引き続き,ジャンプシステム上の分離凸関数最小化問題に対するアルゴリズムの考察を行った.この問題は1995年に安藤らによって提案されたある種の貪欲アルゴリズムによって解けることが知られている.本年度は安藤らのアルゴリズムを精緻化することで,初期解から最適解に遷移できるという測地線性質の証明を進めた.この問題は複雑な離散構造を持つため,従来の離散凸解析において用いられた証明方法とは異なる方法を提案した.この結果について学会発表を行い,専門家と議論を重ねることで,問題に対する理解を深めるとともに,証明の一部に不備があることを発見できた.証明の不備については修正を行い,論文にまとめて投稿中である. また,このジャンプシステム上の分離凸関数最小化問題に対して,以下の問いの答えを検討している. (1)測地線性質を持つ別種の貪欲アルゴリズムや最急降下法が構築可能か (2)局所解について一部の情報が得られない場合について,反復回数を抑えることが可能か (1)について最急降下法の測地線性質を検討したが,未だに分かっていない.限定されたケースでは既に得られた結果から測地線性質をもつことが言えるものの,一般的なケースについては貪欲アルゴリズムで行った証明方法を用いてもうまくいかず,他の証明方法を検討中である.(2)についても一般的な状況において反復回数をうまく抑えられるかは明らかになっていないが,検討を重ねることで問題に対する理解を進めることができている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ渦により予定通りの国内外の出張はできなかったものの,国内の一部の会議には参加することができ,専門家との議論によって得られた結果をより良いものにすることができた.一方で,多くのオンライン開催の学会にも参加することで,多くの情報収集を行うことができた.
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今後の研究の推進方策 |
ジャンプシステム上の分離凸関数最小化問題対する測地線アルゴリズムについて得られた結果を,論文誌へ掲載することを目指す.まだ明らかになっていない結果についても証明を進め,発表できる形に持っていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ渦で国内外の出張の一部が実行できなかったため,予算執行計画の見直しを行った.次年度における専門家との議論のための出張や,論文の推敲のために必要な情報収集のため,予算を残した.
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