研究課題/領域番号 |
21K21293
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研究機関 | 日本工業大学 |
研究代表者 |
伊藤 暢彦 日本工業大学, 先進工学部, 准教授 (40706032)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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キーワード | IoT / モバイル網 / 映像品質 / オブジェクト検出 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,カメラ映像を活用した情報サービスの健全な普及促進,安定運用への貢献に向けて,モバイル網の輻輳を緩和しながら,所望のオブジェクト検出精度と遅延要件を満足する適応型映像配信システムを明らかにすることである.当該年度の目標は,昨年度検討した映像品質制御手法と,品質変動の大きい無線区間での優先制御を組み合わせた適応型映像配信システムを確立することである.昨年度検討した映像品質制御手法は,オブジェクト検出精度をモニタリングしながら,映像の品質が変化する手法である.また,モバイル網における無線品質は時間変動する.当該年度は,上述の2つの要素が変動する環境下において,遅延要件を満足する通信資源割当手法(優先制御)を検討した.通信資源割当手法は,映像品質と無線品質の変化に基づいて映像伝送のための通信帯域を決定する手法である.3GPP TR 22.885によると,交差点における車両衝突回避における通信要件は100ms,そして,その通信要件を満足するパケットの割合は最低でも95%を保証する必要があるため,それらの要件を遅延要件として評価を実施した.映像の各フレームのデータサイズは昨年度検討した映像品質制御手法によって決定され,通信資源割当手法は,許容遅延内に到達したフレームの割合が要件である95%を満足できることを,シミュレーション評価により確認した.したがって,映像品質制御手法と優先制御を組み合わせた適応型映像配信システムを導入することで,モバイル網の輻輳を緩和しながら,所望の検出精度と遅延要件を満足できることを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施計画書の当年度の計画を概ね達成した.具体的には,新たに通信資源割当手法(優先制御)を検討し,映像品質制御手法と優先制御を組み合わせた適応型映像配信システムを確立した.適応型映像配信システムを用いることで,モバイル網の輻輳を緩和しながら,所望の検出精度と遅延要件を満足できることを,シミュレーション評価により確認した.
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は適応型映像配信システムの改良を実施するとともに,より現実的なユースケースを用いて,多角的に提案システムの性能を評価する.それらの検討結果をまとめて,国際会議または論文誌への投稿を実施する.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた主たる理由は,新型コロナウイルス感染対策の一環として,学会等への参加による人との接触を回避したためである.次年度は,ハイブリッド開催,または現地開催を計画している学会に,研究成果をタイムリーに広く社会に公開することを目的として参加することに加え,国内外の学会に情報収集のために参加することで,研究成果の公開と情報収集を実施する.
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