本研究では、「求心性信号と中枢性信号に基づくリダイレクテッドハンド」のメカニズムを解明することを目的とし、研究期間全体を通じて以下の研究成果を得ることができた。 研究初期には、リダイレクテッドハンドの発生メカニズムを調査するための基礎実験の設計と実施を行なった。実験参加者に対して、視覚フィードバックや皮膚電気刺激を用いて求心性信号を操作し、経頭蓋直流電気刺激を用いて中枢性信号を操作することにより、求心性信号・中枢性信号がリダイレクテッドハンドの効果にどのような影響を及ぼすかを検証した。 実験データをもとに、求心性信号と中枢性信号の役割および相互作用を定性的に分析した。この結果をもとに、リダイレクテッドハンドの発生メカニズムの解明に取り組んだ。また、それぞれの信号が知覚と運動制御にどのように関与しているか検討を行った。 また、求心性信号と中枢性信号の相互作用に関連する神経基盤を調査するために、脳機能イメージング技術(fNRS)を用いた実験を実施した。これにより、リダイレクテッドハンドに関与する脳領域が特定され、その機能的役割が示唆された。 最終年度には、得られた知見をもとに、バーチャルリアリティ、拡張現実やロボティクス等の技術への応用研究を開始した。リダイレクテッドハンドのメカニズムを利用して、より自然で直感的なインタラクションを実現するための手法を開発し、ユーザスタディを通してその効果を検証した。 総じて、本研究では、求心性信号と中枢性信号の観点からリダイレクテッドハンドのメカニズムの解明に取り組み、求心性信号と中枢性信号とリダイレクテッドハンドの関係性を明らかにすることに成功した。今後は、得られた知見をもとにした応用研究が期待される。
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