複数の小規模な発電設備から直流電力を高い効率で負荷に配電する「直流マイクログリッド」が次世代の給電システムとして注目されている.また,負荷の追加や削除などの外乱に対する直流マイクログリッドの頑健性を,非線形科学の分野で用いられる「分岐解析」とカオス制御の分野で考案された制御手法を用いて向上させる試みがされている.しかし,これまでの手法は,数個程度の電源や負荷で構成される小規模なシステムにしか適用できず,今後の社会における給電網の大規模化には対応できないという問題があった. そこで,解析対象の大規模給電システムを小規模システムへ近似的に帰着させる工夫を提案した.工夫として具体的には,(1) ネットワークシステム全体を一つの「直流給電システムの基本回路」として扱う方法,(2)「外乱を受けた基本回路」と「それ以外の基本回路」の2つからなる小規模ネットワークシステムとして扱う方法,の2つが挙げられる.これらの方法により,考慮するべきシステムの規模を大幅に削減することが可能となり,直流マイクログリッドの頑健性を解析・評価することが容易になる. (2)の方法については,ネットワークを構成する各要素が同一であるという仮定を置くことでシステムの規模の削減が可能である.この結果は,国際学会The 2022 International Symposium on Nonlinear Theory and Its Applications (NOLTA2022)にて発表した.(1)の方法については,ネットワークを構成する各要素が異なっていても,ネットワーク間の結合が強い場合にはシステムの規模の削減が可能である.この結果は,国際学会NOLTA2023に投稿済みである.
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