研究課題/領域番号 |
21K21326
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
松尾 政輝 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 産総研特別研究員 (00912271)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | 視覚障害 / 音触情報 / 認知空間 / インクルーシブゲーム |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,視覚障害者の認知可能な空間を拡張する聴覚・触覚提示方法を解明し,様々な空間理解を促すための音触提示基盤を構築することである. 本目的を達成するために,(1) 視覚的な二次元コンテンツを音・触覚情報を通して代行提示する音触提示基盤の構築,(2) 開発した提示方法の地図やマインドマップの理解・作成への応用,(3) システム配布を通じた当事者によるの評価,の3課題に取り組む. 本年度は,まず音触提示基盤の実現に必要となる要素として,聴覚・触覚提示を行うシステムが扱う情報の種類,ユーザによるインタラクションの内容を検討した.特に,扱う状況ごとのフィルタリング手法や,即時的な音触提示の仕組みを整理した.続いて,作成した音触提示手法をインクルーシブゲーム開発の現場や視覚障害者の数式理解を支援する教育ツールに応用した.音触提示基盤を用いることで,視覚障害者向けゲーム開発ツールや,視覚障害者向けゲーム内空間把握システムを実現でき,視覚障害者と健常者によるインクルーシブな開発体制を構築できた。また,タッチスクリーン上のインタラクションを用いて,視覚障害者の二次元的な数式理解を支援する音触マッピングツールを試作した.本ツールの利用により,視覚障害者は画面上のオブジェクトの位置関係を把握しつつ,補助的音声を含めた二次元コンテンツを作成できるようにnなった. これらの研究内容については,国内外の学会にて報告を行い,1件の受賞に繋がった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的である,視覚障害者の様々な空間理解を促すための音触提示基盤について検討し,インクルーシブゲーム開発や視覚障害者教育における数式理解を促進するためのツールとしての利用を進めることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
次年度(2022年度)は,視覚的な二次元コンテンツを音触情報を通して代行提示する空間音触提示基盤を用いて,視覚障害者の地図理解,マインドマップ作成,数式の理解を支援するためのシステムの開発・改善を行うことを計画している. 一連の開発・評価・改善については,視覚障害者数名を含むインクルーシブな開発体制で行う. さらに,研究開発したシステムを視覚障害ユーザへ広く公開することで,視覚障害状況や生活状況などの文脈で求められる情報や提示法について評価を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
申請者の所属先が2022年度より変更になるため、当該助成金を翌年度分として請求した。次年度分として請求した助成金と合わせて研究環境の整備等に利用していくことを計画している。
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