研究課題
本研究では,視覚障害者の認知可能な空間を拡張する聴覚・触覚提示方法を解明し,様々な空間理解を促すための音触提示基盤を構築することを目指した.本年度は,昨年度提案した音触提示基盤を地図などの空間情報把握に応用し,視覚障害者の移動支援・空間把握・インクルーシブゲーム等の理解促進を行うインタフェースを提案した.移動支援においては,スマートフォン上に表示された経路情報を音触提示する事前経路学習の手法について,様々な視覚障害状況のユーザによる利用結果の分析を通してたどり方の違いと正解率の関係にを考察し,インタフェースの改善点を明らかにした.また,移動中の支援については,効果音・音声を基にしたガイド手法であるオーディオビーコンを提案し,バーチャル空間を用いた評価実験を通じて,音声よりも効果音を基にしたビーコンの方が正確にルート把握できることを明らかにした.さらに,これまで視覚障害者がアクセスできないとされてきたアクションパズルゲームについて,音触情報を用いたユーザインタフェースを提案することにより,落ち物系パズルゲームをインクルーシブ化し,評価した.本年度の研究内容については,国内外の学会にて報告を行い,2件の受賞に繋がった.研究期間全体を通じ,視覚障害者が様々な空間理解を促すための音触提示基盤の構築を行い,インクルーシブゲーム等のエンタテインメント充実,数式理解システムなどの教育支援,移動支援などに応用した.一方で,インクルーシブゲーム内のリアルタイムに変化する状況への対応や,拡大状況により変化する地図情報の提示など,応用する対象に応じて一部提示手法を拡張・変更する必要があったため,より多くの視覚的コンテンツを提示可能とするための提示基盤を提案していくことが今後の課題である.
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件)
Journal on Technology and Person with Disabilities
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