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2021 年度 実施状況報告書

海洋マイクロプラスチックの表面形態観察と分析によるナノ粒子化の機構解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K21333
研究機関芝浦工業大学

研究代表者

関 宏範  芝浦工業大学, SIT総合研究所, 准教授 (60533396)

研究期間 (年度) 2021-08-30 – 2023-03-31
キーワード海洋マイクロプラスチック / 環境解析評価 / 環境保全 / ナノ粒子化の機構 / 表面形態・分析
研究実績の概要

近年、海洋マイクロプラスチックによる海洋汚染が問題視されている。応募者の得意とするマイクロ・ナノスケールでの形態観察と分析により、採取および評価の難しいスーパーマイクロプラスチックに対してどのように形態変化するのかというという学術的な問いに取り組む。このため、初年度では自ら海洋や河川、湖沼などに存在するマイクロプラスチックの回収システムを構築し、マイクロプラスチックを含む水環境中に含まれる微細粒子の回収を行うことを目標とした。
結果として、水中ポンプおよび井戸水用ストレイナー、流量計を組み合わせて10μm以上のスーパーマイクロプラスチック粒子を捕集する回収システムの構築に成功した。実際に豊洲運河にて回収システムを投下し、ポータブル電源にて水中ポンプを動かし、マイクロプラスチックやプランクトンを含む粒子の回収を行うことができた。
その後、得られたサンプルに対してアルカリ処理や酸を用いたフェントン反応処理を行い、プラントンなどスーパーマイクロプラスチックの観察の阻害となる物質の除去を行うことに成功し、また、その処理方法を確立した。
また、他にも、東京海洋大学の荒川久幸教授より東京湾の海洋上にて採取されたサンプル3種をいただき、同様の処理を行い、スーパーマイクロプラスチックの観察に成功した。
得られたサンプルに対して減圧法により濃縮乾燥処理されたサンプルを得、このサンプルに対して電界放射走査型電子顕微鏡による表面形態観察およびエネルギー分散型元素分析装置を用いて元素分析を行い、種々の元素の存在を確認した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

水中ポンプおよび井戸水用ストレイナー、流量計、ポータブル電源を組み合わせて水環境中における回収システムの作成を行った。これを用いて、豊洲運河にて回収の難しい10μmサイズ以上の粒径を有するスーパーマイクロプラスチックやナノ粒子の回収に成功した。また、得られたスーパーマイクロマイクロプラスチックの薬品処理方法を確立した。スーパーマイクロプラスチックは様々な金属やプラスチック、セラミックスから構成されており、例えば酸性の処理を行うことで鉄などのマイクロ粒子やナノ粒子は溶解し、観察が困難になる。このため、適切な順番で薬品処理をすることが需要となる。減圧処理や、アルカリ処理、フェントン処理を組み合わせることで観察の阻害となるプランクトンを溶解処理し最適な海洋スーパーマイクロプラスチックの処理方法の知見を得た。
得られたサンプルに対して電界放射走査型電子顕微鏡(FE-SEM7610F,JEOL)による表面形態観察およびエネルギー分散型元素分析装置(JED-2300F,JEOL)を用いて水環境粒子の表面観察や元素分析を行い、種々の元素の存在を確認し、形態やサイズを明らかにした。

今後の研究の推進方策

表面分析および元素分析を行った結果、様々な金属ナノ粒子を含む粒子が水環境中に存在していることが明らかになってきた。今後、実験回数を重ね、種々の場所における物質の存在量の定量化を図る。このデータをもとに、どういった物質やサイズが人類の生活においてどういった物質が海洋に漂いやすいのかなどを明らかにする。
また、顕微FT-IRやラマン分光法、電子顕微鏡を用い、物質の存在や酸化劣化程度を明らかにする。これらマイクロ・ナノスケールでの形態観察と分析により、水環境中でマイクロプラスチックはどのような過程を経て、どのように形態変化するのかを明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

顕微FT-IR/ラマン分光法や電子顕微鏡を用いて、MPの表面や酸化劣化を評価するにあたり、装置器具類を2022年度に購入するため。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] 水環境中のポリスチレン微粒子の捕集に及ぼす 誘電泳動用ピットの影響2021

    • 著者名/発表者名
      関宏範、林秀臣、内田諭、西川宏之
    • 学会等名
      電気学会A部門大会
  • [学会発表] Utilizing a photosensitive dry film resist in proton beam writing2021

    • 著者名/発表者名
      Hironori Seki, Keiya Kawamura, Hidetaka Hayashi, Yasuyuki Ishii, Nitipon Puttaraksa, Hiroyuki Nishikawa
    • 学会等名
      34th International Microprocesses and Nanotechnology Conference
    • 国際学会

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公開日: 2022-12-28  

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