近年、海洋マイクロプラスチックによる海洋汚染が問題視されている。応募者の得意とするマイクロ・ナノスケールでの形態観察と分析により、採取および評価の難しいスーパーマイクロプラスチックに対してどのように形態変化するのかというという学術的な問いに取り組んだ。初年度では自ら海洋や河川、湖沼などに存在するマイクロプラスチックの回収システムを構築し、マイクロプラスチックを含む水環境中に含まれる微細粒子の回収を行った。 結果として、水中ポンプおよび井戸水用ストレイナー、流量計を組み合わせて10μm以上のスーパーマイクロプラスチック粒子を捕集する回収システムの構築に成功した。実際に豊洲運河にて回収システムを投下し、ポータブル電源にて水中ポンプを動かし、マイクロプラスチックやプランクトンを含む粒子の回収を行うことができた。 その後、得られたサンプルに対してアルカリ処理や酸を用いたフェントン反応処理を行い、プラントンなどスーパーマイクロプラスチックの観察の阻害となる物質の除去を行うことに成功し、また、その処理方法を確立した。 また、東京海洋大学の荒川久幸教授より東京湾の海洋上にて採取されたサンプル3種をいただき、同様の処理を行い、スーパーマイクロプラスチックの観察に成功した。 最終年度には検鏡プレートを大面積化した独自の大型検鏡プレートにも成功し、これと水環境用光学スキャナーおよび画像解析ソフトと用いて一度に大面積の水環境サンプルの解析に成功した。 得られたサンプルに対して減圧法により濃縮乾燥処理されたサンプルを得、このサンプルに対して電界放射走査型電子顕微鏡による表面形態観察およびエネルギー分散型元素分析装置を用いて元素分析を行い、種々の元素の存在を確認した。
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