研究課題/領域番号 |
21K21334
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研究機関 | 有明工業高等専門学校 |
研究代表者 |
石川 元人 有明工業高等専門学校, 創造工学科, 助教 (00910308)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | 両親媒性ヤヌスACC-CNF / 水中対向衝突法 / ポリプロピレン |
研究実績の概要 |
ACC-CNFs/PPに良好な相互作用が生じるCNFs繊維幅と PP直径の検討に関して:ACC-CNFsの表面特性がその繊維幅や原料種に依存して変化することを明らかにした既報(Ishikawa and Kondo, Cellulose 2017)を踏まえ 、①CNFs側からのアプローチとして、吸着現象が確かな500 μm直径PP粒子/漂白竹パルプ(バイオマス原料として)由来または酢酸菌産生セルロース繊維(不純物のないセルロース原料として)由来の ACC-CNFsに着目し、繊維幅の異なる各種ACC-CNFs を調製、PPとの吸着因子の検討を予定していた。繊維幅の比較的大きな漂白竹パルプ由来のACC-CNFsでは吸着現象が既往の知見と同程度に進むのを明らかにした。しかし、凝集しやすい大きな繊維も存在しており、吸着を生じやすい繊維幅の存在が示唆された。遠心分離なども併用して、繊維幅をより明確に絞り込んだ検討の段階に進んでいる。②並行して、PP 側からのアプローチとして、表面改質法による粒子表面の親水化や粒径を変化させた際の吸着条件の絞り込みを検討している。球状粒子へのコロナ処理による表面のみ酸化は進みにくく、装置上の工夫が必要だった。代わりに、次年度の目標である海水中でのマイクロプラスチック捕集の可能性を模索するべく、塩水中でのプラスチックへのACS-CNFs吸着実験を試みたところ、塩水中で凝集せずに拡散するPP粒子を得ることができたことから、次年度への足掛かりとなる実験結果を得ることができたと考えている。 同様に、次年度に予定していた他のポリオレフィンへのCNFsの吸着の検討に関する論文が受理、発行された(Ishikawa et al. Macromolecules 2021)。引き続きACC-CNFsと親和性の高いポリオレフィン類の特徴を探索する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
微細物産生セルロース資源を原料とするACC-CNFsの調製については、微細物株を継代して実験系を構築していたが、途中でセルロース産生量が著しく変動した時期があったため、再度、スクリーニングを行い、植え継ぎを試みたために進捗が遅れてしまった。この問題についてはスクリーニングが功を奏し、問題を解決したので進捗を回復できる見込みがたった。PP側からの条件調製については破砕機の納入時期がずれてしまった問題もあり立ち遅れているが、こちらも解決したので急ぎ、進捗得られるよう努めたい。 一方で、次年度に予定していた他のポリオレフィン類マイクロプラスチックへのCNFs吸着に関する成果がまとまり、これをまとめた論文がアクセプトに至った。
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今後の研究の推進方策 |
前年度予定していた、繊維幅の異なるACC-CNFsとPPとの相互作用についての研究を優先して進めていく。その上で、本来予定としていた計画のうち②簡易MP捕集デバイスの考案とCNFs/MP複合粒子の再成形:について検討を進める。CNFs被覆MPを一種 のペレットとみなして熱プレス成形(本申請にて準備)などを行い、力学物性や広角 X 線散乱による結晶構造の評価も行う。併せてこれらの 結果を取りまとめ、学会や論文投稿を通して成果の発表に取り組む。次年度の検討項目①他のベースポリマーMPに対するCNFs吸着方法の考案に関しては、関連論文がアクセプトに至ったので続報を執筆できるように精力的に取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由:初年度に結果された全体の予算のうち1364円の残額が発生している。物品の購入金額を抑えるために適宜、フェア品などの値引き品の購入で節約をした結果。 次年度の使用計画について:実験の進捗に役立てるよう、ガラス器具あるいは試薬等の消耗品購入に充てる予定。
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備考 |
現在はアーカイブ内へ移行、いつでも閲覧が可能。論文投稿先のへのリンクあり。
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