研究課題/領域番号 |
21K21340
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
嶌田 栄樹 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 研究員 (40909793)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | 再生可能エネルギー / 漁業 / 因果効果 / 調査観察データ |
研究実績の概要 |
洋上風力発電の導入がもたらす経済的負荷の評価ツールを開発するため、「海面漁業生産統計調査」や「国勢調査」をはじめとする政府統計・公開データベースから8種類のデータを取得し、経済的負荷の評価に用いるデータセットを構築した。同データセットに合成コントロール法 (SCM: synthetic control method) を応用することで、洋上風力発電の導入が地元市町村の漁業生産量や一人当たり課税所得に与える因果効果を測定するフレームワークを確立した。同フレームワークを応用した結果、実証目的で導入された国内の洋上風力発電は、統計的に検出されるほどの影響を漁業にもたらさない可能性が示唆された。漁業生産量を漁法別・魚種別に評価しても同様の結果が得られた。また、一人当たり課税所得への影響についても、大きな影響は統計的に検出されなかった。 洋上風力発電の導入による漁業への負荷を把握しないと、導入地域の漁業者の反発を招き、洋上風力発電の大量導入の停滞へとつながる恐れがある中、漁業の負荷は評価されてこなかった。本研究は、洋上風力発電がもたらす漁業への負荷を定量的に評価した最初の研究となる。ただし、洋上風力発電を大規模化した際の影響や長期的な影響の評価が課題として残された。 以上の研究成果をまとめた論文は英文学術誌に投稿され、改訂・再投稿が完了した。また、研究成果は国内の査読付学会で報告され、査読付国際学会に受理され報告予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
洋上風力発電の導入がもたらす経済的負荷の評価ツールの開発と応用は、当初の予定を上回るペースで進展した。ただし、新型コロナウイルスの国内感染状況の影響から、洋上風力発電に関する技術的な知識や漁業に関する現場の知識を広く深く得るために実施予定であった、開発事業者や漁業者を対象とした実地調査を行うことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスの影響によって実施できなかった開発事業者や漁業者を対象とした実地調査に注力する。それにより、洋上風力発電が導入地域の漁業に影響するメカニズムを明らかにする。同時に、研究成果を国内外の学会で報告し、論文の出版に力を入れる。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度は新型コロナウイルスの影響によって国内外の出張に行くことができなかった。本年度は、国内の洋上風力発電の実地調査、国内学会に関連する国内出張、国際学会含む海外出張をそれぞれ数件予定している。
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