• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実施状況報告書

アメリカ日系人強制収容所における日本庭園群の調査による日米協力体制基盤の構築

研究課題

研究課題/領域番号 21KK0010
研究機関長崎大学

研究代表者

五島 聖子  長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(環境), 教授 (80745216)

研究分担者 古谷 勝則  千葉大学, 大学院園芸学研究院, 教授 (10238694)
水内 佑輔  東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (40768602)
西坂 涼  千葉大学, 大学院園芸学研究院, 特任研究員 (50868198)
研究期間 (年度) 2021-10-07 – 2026-03-31
キーワードグラナダ日系人強制収容所 / アメリカの日系移民 / 日本庭園 / 遺跡
研究実績の概要

当該年度はコロナ禍の規制緩和がされたため、ロサンジェルスの日系博物館での資料収集、生存者及び関係者へのインタビュー、そしてグラナダ日系人強制収容所の現地調査に赴くことができた。グラナダ日系人強制収容所は、研究協力者Clark の案内で調査を行った。Clark は、2008年以来コロラド州グラナダ日系人収容所の発掘調査を主導してきた考古学者で、デンバー大学人文学科で教鞭を取る教授である。クラークと共に、これまで発掘された遺跡と遺品の確認をした。グラナダ日系人強制収容所は、1994年には国定史跡に指定され、さらに国立公園となることが決定されている (nps.gov)が、現在は収容所バラックと監視塔が荒野の中に復元されているだけであり、多くの建物や庭園が復元されなくてはならないこと、多くの庭園遺跡が発掘されているが、現地の研究者に日本人がいないので、文献の検討や日本庭園遺跡の考証に至っていないことを確認した。
文献調査としては、日系人博物館において古写真や雑誌の切り抜き資料を閲覧し、アメリカの日系移民史、収容所の庭園造成のリーダーシップを取った日系造園家の系譜、カリフォルニア日本庭園協会の活動史を調査した。また、当時の日系人のアメリカでの造園業の様子を調査するために、日本庭園協会に残される当時発行された雑誌「ガーデナーズの友」を入手した。これらの資料の他に、収容所内で発行された新聞の日本語誌面を詳しく解読し、データとしてまとめた。
グラナダ日系人収容所には多くの庭が作られたが、日本庭園として発掘されたものは2つだけである。しかし、この小さな庭の造成において、収容された人々に及ぼした影響はかなり大きかったことが、残された庭の形態と資料から伺うことができた。今回の現地調査では、現地で撮影した庭の遺跡のビデオを3D化し、復元モデルを作成した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

初年時にコロナ禍のために現地調査に行けなかったため、全体的に遅れが生じている。しかしながら、今年度はグラナダ日系人強制収容所跡地の現地調査に行くことができ、海外研究協力者と連携を強めることができた。また、現地の研究協力者の協力により、庭園遺跡の撮影を完了し、データを3D化することができた。また、ロサンジェルス日系人博物館とカリフォルニア日本庭園協会を尋ね、戦前の文献資料を調査しデータを入手することができたとともに、現地の学芸員や協会のスタッフの聞き取り調査を行うことができた。
現在までのところ、日本庭園協会で発行された「ガーデナーズの友」の中で、戦前に掲載された日本庭園に関する記事、グラナダ日系人強制収容所で発行された新聞の日本語紙面に掲載された詩歌全てを書き抜き、当時の日系庭師の日本庭園に対する認識と、詩歌に読まれた強制収容所の風景と人々の心情をまとめた。また、グラナダで日本庭園を造成した日系人の出身地や経歴を調査し、どのような人物が庭園造成のリーダーシップを取ったかをまとめた。現在、グラナダの庭園に関するこれらの調査結果を論文としてまとめている。

今後の研究の推進方策

今後はグラナダ強制収容所の研究をさらに進めるとともに、マンザナール強制収容所の現地調査を行う。2023年度6月には、マンザナール国立公園に赴き、研究協力者Jeff Berton の案内で現地を調査する。マンザナールでは、庭園の復元3D模型をビジターセンターに展示することを希望しているので、これまでに作成した3Dモデルデータと資料をもとに、復元モデルを作成する。
2022年度に現地調査をしたグラナダ日系人強制収容所では、花壇を中心とする多くの庭が造成されていたが、その中で日本庭園と呼べる庭はわずかであった。それに対してマンザナール日系人強制収容所では、造成された庭のほとんどが日本庭園であった。今後は、同じカリフォルニア出身の日系人収容者が、なぜマンザナールにおいて膨大な日本庭園の造成に至ったのか、その理由を中心に両者の収容所を比較検討する。
マンザナール日系人強制収容所現地調査結果は、2023年度中にまとめ、グラナダ日系人強制収容所の調査結果と合わせて2024年春に開催予定のNorth American Japanese Garden Association の国際学会で発表する予定である。

次年度使用額が生じた理由

初年度にコロナ禍のため現地調査に行くことができなかったので、当初計上した渡航費が未使用額となった。やっと通常通りに海外渡航ができるようになったので、今後は未使用分を合わせて現地調査、人件費、研究発表にかかる経費に充てて研究を進める。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 国際共同研究 (1件)

  • [国際共同研究] Denver University/Manzanar National Park(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      Denver University/Manzanar National Park

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi