研究課題/領域番号 |
21KK0011
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
古田 雅一 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40181458)
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研究分担者 |
松下 正和 神戸大学, 地域連携推進室, 特命准教授 (70379329)
安藤 太一 大阪府立大学工業高等専門学校, その他部局等, 講師 (90850131)
朝田 良子 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60546349)
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研究期間 (年度) |
2021-10-07 – 2024-03-31
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キーワード | ベトナム / グェン王朝 / 版木 / X線 / カビ汚染除去 |
研究実績の概要 |
ベトナム側の共同研究者がベトナムの文化財のうち微生物汚染や修復の必要性のある文化財資料の候補、すなわちグエン王朝時代の文書の木製の版木をはじめ、ベトナム国内に所蔵されている木製資料、紙資料、絹資料のカビ汚染状況の文献を調査し、当該研究者の所属機関(ダラット大学)があるラムドン州の博物館の関係者と直接対話して調査を行った。またこれらの関係者から得られた版木の資料についてカビの汚染状況の調査と菌体収集を行い、所属機関(ダラット大学)の低エネルギーX線の装置を用いて予備的な殺菌試験を行い、基礎的なデータを得て殺菌可能性を確認した。すなわちベトナムグェン王朝の版木から分離されたカビの中で,最も放射線抵抗性の株はCladosporium sp. であった。 版木中心部のカビは表面6.2 kGy の照射で4 桁減少し,8.3 kGy で検出されなくなった。これらの結果から,版木中の汚染カビはX 線(F1)を用いた両面照射により,線量10 kGy,線量均一度1.04 で効果的な殺菌が可能であることが示された。日本側研究者も文献検索を行い、ZOOMシステムによるオンライン会合により、上記のベトナム側の予備試験条件の策定をともに行った。この結果を踏まえ、ベトナム側研究者と必要な実験条件、研究環境構築についてのプランを作成した。それに従い、研究代表者は必要備品の発注のための業者選定、ベトナム側への設置方法について必要な手続きを完了した。
以上の検討の途中で、ベトナム側のX線照射装置が故障し、日越両国のコロナ禍のために装置の修理、整備が遅延し、今後の復旧の目処が立たない状況下、代替の装置を保有する東京都立産業技術研究センターとの共同研究体制の構築し、予備実験を継続している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナ禍のために相互協力が阻害され、実質的な研究活動が大きく制限されたため。
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今後の研究の推進方策 |
オンラインミーティングなどで前年度で合意した予備実験について東京都立産業技術センターの装置を用いて早急に試験(装置の放射線分布の計測、カビの培養と照射試験、低エネルギーX線の試料中での線量分布など)を行う。その間にベトナム側への機器の設置を行い、適切な試験が行える環境を整備する。コロナ禍の収束時期により、現地への出張や直接指導ができない場合はオンラインミーティングを活用して情報共有を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度はコロナ禍のために海外出張、呼び寄せなどにかかわる旅費が全く支出できず、備品購入手続き、ベトナム現地への設置手続き、支払い手続きが滞り、当該年度中に完了できなかったため。
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