研究課題/領域番号 |
21KK0042
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
山 祐嗣 大阪市立大学, 大学院文学研究科, 教授 (80202373)
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研究分担者 |
山 愛美 京都先端科学大学, 人文学部, 教授 (00230300)
橋本 博文 大阪市立大学, 大学院文学研究科, 准教授 (00759714)
鈴木 紘子 (中村紘子) 東京電機大学, 理工学部, 研究員 (30521976)
眞嶋 良全 北星学園大学, 社会福祉学部, 教授 (50344536)
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研究期間 (年度) |
2021-10-07 – 2026-03-31
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キーワード | 二重過程理論 / モラル推論 / 宗教的信念 / 直感的推論 / 熟慮的推論 / 比較文化研究 |
研究実績の概要 |
本研究は、二重過程理論における熟慮的システムは直感的システムを制御できるのかという問題を背景に、熟慮的システムの機能である科学的思考傾向が高い人は直感的システムの所産である宗教的信念が弱いという定説への疑義からスタートしている。その理由は、分担者の眞嶋良全が、日本人においては、科学的思考も宗教的直感を促進しているという成果を得ているためである(Majima,2015)。 2021年度(10月~)は、研究材料の作成の開始が予定されていたが、新型コロナパンデミックのために、海外パートナーと研究打ち合わせのための渡仏ができなかった。それで、互いのこれまでの研究状況の確認、これらの成果の公開、および宗教の認知科学の知見を得るために、2022年3月17日と18日に、大阪市立大学において、“Dual Process, Moral Reasoning, and/or Religious Belief.”というタイトルでキックオフシンポジウムを行った。熟慮的システムが直感的システムの出力をどのように制御できるのかをテーマに、日本チーム全員、およびフランスから、Veronique Salvano-Pardieu、Lina Bentahilaが話題提供を行った。 また、山祐嗣は、熟慮的システムが直感的システムの出力の制御について、歴史的視点から議論した(山祐嗣, 2021)。眞嶋良全は、認識論的に疑わしい信念への文化の影響について検証し(Majima et al., 2022)、橋本博文は、義務論的判断が直感的と考えられていた定説に疑義を呈し、むしろ熟慮を重ねるとモラル判断が義務論的になるという成果を得ている(Hashimoto et al., 2022)。山愛美は、宗教的体験としての異界を異文化体験とみなす論考を行っている(山愛美, 2022)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定では、2022年の3月に渡仏し、そこで実験計画を練り、心理学実験の材料を共同で考案することになっていた。しかし、新型コロナウイルスの影響で、渡仏が不可能となり、代替でウェブによるキックオフシンポジウムを行ったが、ウェブでは、これまでの成果の確認はできても、計画を練ったり材料を作成したりすることは困難であった。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、可能ならば9月に渡仏し、そこで実験計画を練り、心理学実験の材料を共同で考案する。そのために、それまでに質問紙などの原案を作成し、日本人を実験参加者としてその予備実験を行う。質問紙として、たとえば山祐嗣は、宗教的モラル推論について、弁証法的な思考傾向を測定するものを計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度は代表1、分担者4、協力者2の全員が渡仏し、実験や調査の打ち合わせを行う予定であったが、新型コロナウイルス蔓延のために、渡仏ができなかった。そのために、多くの旅費が未執行となった。
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備考 |
Veronique Salvano-Pardieuは、オルレアン大学にも所属。
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