研究課題/領域番号 |
21KK0045
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研究機関 | 北陸先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
石原 哉 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (10211046)
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研究分担者 |
河井 達治 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (00824343)
横山 啓太 東北大学, 理学研究科, 教授 (10534430)
根元 多佳子 広島工業大学, 環境学部, 准教授 (20546155)
藤原 誠 明治大学, 研究・知財戦略機構(生田), 研究推進員(客員研究員) (20779095)
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研究期間 (年度) |
2021-10-07 – 2026-03-31
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キーワード | 構成的数学 / 逆数学 |
研究実績の概要 |
【算術における逆数学】リーズ大学との共同研究によるCaristi-Kirkの不動点定理の逆数学分析についてこれまでに得られた結果を整理し、論文の投稿に向けた準備を進めている。関連する算術的超限再帰公理のWeihrauch次数による諸種の表現についての研究を開始した。また、「Cantor区間上の連続関数が連続なモジュラスを持つ」という主張(命題)を構成的逆数学の観点から考察した。この命題は、古典数学、Brouwerの直観主義、Markovの再帰数学では成り立つが、Bishopの構成的数学では成り立たないことが知られている。一方、離散空間への連続関数については、LMUミュンヘンの研究者により弱ケーニッヒの補題(WKL)の仮定の下でこの命題が構成的に成り立つことが知られていた。2021年度は、この結果を実数値関数に拡張することができた。この結果は、近々論文としてまとめ学術雑誌に投稿する予定である。 【集合論における逆数学】特になし。 【様々な公理の解析】古典論理の証明を構成的推論と関連が深い最小論理の証明に変換する一般化されたゲンツェンの否定翻訳を詳しく解析し、それを用いて古典算術と直観主義算術の間の保存性定理を拡張する古典算術と中間算術の間の保存性定理を得た。典型的な論理式のクラスに対する拡張された保存性定理と直観主義算術上の論理原理の階層構造の関係を詳しく解析し、その構造をおおよそ明らかにした。また、構成的逆数学におけるWKLの分類について研究を行い、現在投稿論文を準備中である。 【プログラム理論の構築】特になし。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の影響で、まだ自由な海外渡航は難しい。オンラインシステム等を活用してリーズ大学、LMUミュンヘンおよびパドヴァ大学の研究者と研究打合せを行った。研究成果につながるケースもあるが、具体的な共同研究の開始に至っていないケースが多い。特に、【集合論における逆数学】および【プログラム理論の構築】では共同研究の開始に至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
Caristi-Kirkの不動点定理の逆数学分析については、不動点定理を適用する関数のボレル階層により定理の強さが階層分類できることが分かっている。特に連続関数の場合からは算術的内包公理が、ベール1級関数の場合からは算術的超限再帰公理が導出されることが分かっている。また、関連するWeihrauch次数として、自然数の部分集合に対する不動点演算が重要ではないかと考え、その分析を進める。命題「Cantor区間上の連続関数が連続なモジュラスを持つ」に関するの興味深い研究課題は、それがWKLより弱い仮定の下で成立するか、というものである。特に、古典数学の基礎体系RCA0で証明できるような仮定(中間値の定理やBD-N)の下でこの命題が成立するか、という疑問に答えることは、古典的逆数学における関数のコード化や、構成的逆数における種々の弱いWKLやBD-Nの同値類の解明に関わる重要な課題である。今後の研究では、これらの先行研究の調査を踏まえ、上記課題の肯定的な解決、もしくは当該命題と同値になる自然な公理の発見を目指す。また、構成的逆数学においてCauchy列に関する命題など解析学の基本的定理の分類や計算可能性理論の逆数学について研究を進める予定である。 状況が許せば、2022年度中にリーズ大学、LMUミュンヘンおよびパドヴァ大学の研究グループを直接訪問し、最新の研究成果について報告すると共に、【集合論における逆数学】および【プログラム理論の構築】に関する研究打合せを行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響で国内研究打合せを思うように実施できなかったため、旅費に残額が生じた。そのため、研究課題のホームページ整備のための謝金、リモートミーティングシステムの契約料に旅費の一部を充てた。次年度ワクチン接種が進みコロナ禍が落ち着いてきたら、集中的に国内研究打合せを行う予定である。また、海外渡航の制約が緩んだ場合、次年度使用額の一部は海外研究機関を訪問し対面の国際共同研究のための旅費として使用する予定である。
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