研究課題/領域番号 |
21KK0050
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
浦川 優子 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (80580555)
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研究分担者 |
市來 淨與 名古屋大学, 素粒子宇宙起源研究所, 准教授 (10534480)
北嶋 直弥 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (50737955)
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研究期間 (年度) |
2021-10-07 – 2025-03-31
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キーワード | 暗黒物質 / アクシオン / 電波観測 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、日本及びドイツの国際共同研究ネットワークを確立し、電波観測を通じてアクシオン暗黒物質の痕跡の網羅的な探査を行うことである。昨年度は、本事業の研究計画を実行し、以下の成果を得た。アクシオンは暗黒物質の有力な候補の一つであるが、元々はQCDの強いCP問題を解決するために提案されたものである。暗黒物質の有力な候補であるQCDアクシオンは、QCD相転移期にグルーオンとの直接相互作用を通じてポテンシャルを獲得する。この直接相互作用が、宇宙におけるアクシオンの空間分布に与える影響は、これまでほとんど考えられていなかった。2022年3月に、Journal of Cosmology and Astroparticle Physicsに出版された論文(Kogai, Kitajima, Urakawa JCAP 03 (2022) 03, 039)では、直接相互作用の影響により、アクシオンが非常に非一様性な空間分布を形成することを示した。この結果は、アクシオン模型の重要なパラメータであるPeccei-Quinnスケールを宇宙の観測から探る際に、従来課されていた基本的な仮定を、再考する必要があることを示唆する。
さらに、研究計画の一つである、電波観測を通じたアクシオン暗黒物質の探査については、2021年11月にVLA/VLBAにおける観測提案が採択され、現在観測を開始しデータの収集を開始している。
加えて、コロナ禍における日独の共同研究体制の構築に向け、日独の研究者が集い議論を行う機会として、日独ジョイントセミナーを組織し、2022年2月より、月に一回、本事業と関連する分野の専門家を招きオンラインセミナーを実施している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アクシオンのクラスタリング機構については、前出の論文(Kogai, Kitajima, Urakawa JCAP 03 (2022) 03, 039)において一定の成果を得た。さらに、電波観測については、VLA/VLBAでの観測提案が採択され、順調にデータ収集を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は以下の研究を遂行する。 ・アクシオンミニクラスターの形成について 昨年度発表した論文(Kogai, Kitajima, Urakawa JCAP 03 (2022) 03, 039)の成果をもとに、主に物質優勢期における時間進化を評価し、我々が提案したシナリオにおいて、アクシオンミニクラスターが現在の宇宙にどの程度存在するかを評価し、その観測可能性を見積もる。また、これまでは標準模型のQCDが予言するアクシオンとグルーオンとの相互作用を考えてきたが、標準模型を超えた物理の存在により、アクシオンミニクラスターの形成機構にどの程度影響があるのかを評価する。
・電波観測を通じたアクシオン暗黒物質の探査について VLA/VLBAにおける観測が終了次第、データ解析を行い、アクシオン暗黒物質の痕跡の探査を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
パンデミックにより、予定していた出張を行うことができなかったため、予算余剰が生じた。
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