研究課題/領域番号 |
21KK0050
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
浦川 優子 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (80580555)
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研究分担者 |
市來 淨與 名古屋大学, 素粒子宇宙起源研究所, 准教授 (10534480)
北嶋 直弥 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (50737955)
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研究期間 (年度) |
2021-10-07 – 2025-03-31
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キーワード | 暗黒物質 / 重力波 / アクシオン |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、電波観測を通じて暗黒物質特にその代表的な候補であるアクシオンの痕跡の網羅的な探査を行うことである。2023年度行った研究は以下の通りである。
代表者浦川は、デルタN形式を拡張することで宇宙論的揺らぎの大スケールにおける時間進化の新規計算手法を開発した(to appear in Physical Review Letters)。これにより重力波やゲージ場の時間進化及びそれらが曲率揺らぎに与える影響を容易に見積もることが可能となった。我々が開発した拡張されたデルタN形式は、暗黒物質の候補である暗黒光子や原始磁場生成機構などを議論する際に有用となる可能性があるため、本研究の推進につながる成果と考えられる。
暗黒光子は暗黒物質の候補の一つでありアクシオンとの相互作用を通じて生成されることが知られているが、通常その生成機構では大きな結合定数が仮定されているため、その模型構築において困難が伴う。分担者北嶋はアクシオンのポテンシャルによっては、大きな結合定数を仮定しなくても暗黒光子が効率よく生成できることを指摘した (Kitajima & Takahashi 2023)。また(Kitajima & Nakayama, 23)では宇宙ひものダイナミクス及び暗黒光子生成をシミュレーションにより解析し、地上重力波干渉計及びパルサータイミング観測による重力波観測を通じた暗黒光子の痕跡の検出可能性を指摘した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は予期していなかった方向性で進展があったため、研究計画に沿った方向性についてはやや進捗が遅れている。また代表者浦川が2023年7月から2024年3月まで産前産後休暇及び育児休暇を取得したことも計画遅延の原因となっている。
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今後の研究の推進方策 |
アクシオン暗黒物質の非線形の構造形成を議論するには高度なシミュレーションが必要となる。2023年9月よりN体シミュレーションの専門家である秋津一之氏を博士研究員として雇用し、研究の推進をはかっている。
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次年度使用額が生じた理由 |
代表者が第二子出産に伴いドイツへの渡航が困難となったため残額が発生した。代表者は2024年度も育児のため海外渡航が難しい状況が続くため、本経費で雇用している博士研究員秋津一之氏が海外渡航し情報収集及び成果発表を行う。秋津氏の雇用経費も本予算から支出する。
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