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2023 年度 実施状況報告書

日印共同気球観測を軸とする遠赤外線天文学による星形成研究の推進

研究課題

研究課題/領域番号 21KK0053
研究機関名古屋大学

研究代表者

金田 英宏  名古屋大学, 理学研究科, 教授 (30301724)

研究分担者 大薮 進喜  徳島大学, 教養教育院, 准教授 (10396806)
楠根 貴成  名古屋大学, 理学研究科, 研究員 (20915318)
研究期間 (年度) 2021-10-07 – 2026-03-31
キーワード遠赤外線 / 星形成 / 気球観測 / [CII]放射 / 衛星ミッション
研究実績の概要

本研究は、インドのタタ基礎科学研究所(TIFR)の研究者と共同で遠赤外線天文観測を実施するものであり、インド・ハイデラバードのTIFR気球放球基地における遠赤外線気球望遠鏡による星形成領域の観測、および将来の遠赤外線天文衛星プロジェクトの実現に向けた検討を行う。
2023年度は、2023年2月18日-19日(インド時間)に実施した気球観測のデータ解析を進めた。観測された天体は星形成領域Carina、RCW42、RCW106、NGC3603、NGC6334、NGC6357、GM1-24、RCW116である。インドチームと協力してデータ処理を進め、現行のデータ解析ソフトの改良も行った。これらの天体のうち、NGC6334はフィラメント構造が卓越した興味深い領域であり、データの質も良かったため、先行して研究を進め、名古屋大学2023年度修士論文「大質量星形成領域における星間磁場の振る舞いと遠赤外線[CII] 放射の関係」(辻隼大)に初期成果をまとめた。また、投稿論文の準備を始めた。
並行して、国内においても、新分光器の遠赤外線アレイセンサー読み出しのデジタル回路の改修や、実験データ表示・評価ソフトの改良、遠赤外線ファブリペロー分光器の低温駆動評価システムの構築などを進めた。とくに、ファブリペロー分光器を運用温度10 Kで駆動距離およびmicro-radianレベルのチルト誤差を高精度に測定するための特殊な光学計測システムを構築し、名古屋大学2023年度修士論文「遠赤外線[CII]気球望遠鏡搭載用冷却駆動型ファブリペロー分光器の性能評価」(脇田愛未)にその開発成果をまとめた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

新型コロナウイルス感染症による渡航・活動規制によって、インド現地での作業開始が大幅に遅れたこともあり、2023年2月にようやく試験観測の実施に成功し、従来通りの動作を確認できた。しかし、2023年度は世界的に液体ヘリウムの入手が困難になったことや、インドの共同研究チームが管理する地上望遠鏡装置の立ち上げ作業のため都合が付かず、ハイデラバードでの気球観測が実施できなかった。

今後の研究の推進方策

2024年4月24日から5月2日に、インドのハイデラバードTIFR気球放球基地およびムンバイTIFR本部を訪問する。次回の気球観測に向けたスケジュールを確認し、新しい遠赤外線分光器の投入時期を議論する予定である。また、インド側の宇宙科学ロードマップの提案内容を議論し、遠赤外線衛星ミッションの可能性について検討する。インドにおける液体ヘリウムの入手性は改善しており、2024年11月期に観測を再開できる見込みである。なお、2023月2月の試験観測の際に分かった不具合([CII]スペクトル線の中心波長がずれて検出されたこと)に対処するために、インド現地で標準[CII]光源を用いた再キャリブレーションを行う予定であり、問題がなければ観測に進む。また、データ解析パイプラインの開発を日印両方で進めており、2024年中に日印で公式ソフトを一本化することを目標に共同作業を継続する。

次年度使用額が生じた理由

本年度は当初予定していたインド・ハイデラバードでの気球観測実験を全く実施できなかったため(液体ヘリウムの調達が困難であったことと、インド側メンバーの都合が合わなかったことが原因)、海外旅費分で大きな残額が生じた。次年度は、気球実験を再開する方向でインド側とは合意しており、11月と3月の2回、実施する予定である。そのための旅費として使用する計画である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 国際共同研究 (1件)

  • [国際共同研究] Tata Institute of Fundamental Research(インド)

    • 国名
      インド
    • 外国機関名
      Tata Institute of Fundamental Research

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公開日: 2024-12-25  

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