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2021 年度 実施状況報告書

電力線の絶縁破壊兆候を早期発見する高感度光ファイバセンシングの国際共同研究

研究課題

研究課題/領域番号 21KK0067
研究機関東京農工大学

研究代表者

田中 洋介  東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20283343)

研究分担者 稲田 優貴  埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (00735532)
塩田 達俊  埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (10376858)
研究期間 (年度) 2021-10-07 – 2024-03-31
キーワード光ファイバセンサ / 分布計測 / FBGセンサ / ブリュアン散乱 / 温度計測 / ひずみ計測 / 振動計測
研究実績の概要

本研究の目的は、分布型光ファイバセンサによる温度または振動測定を利用した電力線の絶縁劣化初期段階の観測について、その具体的な手法を実際の電力施設を用いて確立することにある。そのためにマレーシアの電力会社テナガ・ナショナルの研究所(TNBR)内で、現地で実際に使用されているものと同等の電力線を用意し、センシング用の光ファイバを敷設することを計画した。分布型光ファイバセンシングについては、日本、マレーシア両国の研究者が協力して事前に準備実験を行うこととした。研究の第一段階の目標は、送電状態を変化させ、分布型光ファイバセンサで測定される電力線長手方向の温度分布や振動分布の変化との関係を明らかにすることとした。2021年度は、コロナ禍のため現地での実験を進めることができなくなったが、オンラインでの議論を活発に行い、両国の研究者が協力して光ファイバ分布センシングの高空間分解能化や高速化のための様々な手法の提案と原理確認を進めた。具体的には、光ファイバ内の散乱現象の一つであるブリュアン散乱が温度や歪みによって波長を変化させる現象を利用したセンシングにおいて、波長変化自体を測る従来手法に代わり、散乱光のパワーから即座に温度や歪みの変化を測定する手法を考案し、原理実証を行った。また、光源に光周波数コム光源を用いてブリュアン散乱を発生させ、散乱光スペクトルを一括測定する新たな手法の提案を行った。更に、精度向上のために機械学習を利用した手法について手掛けた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2021年度は、コロナ禍のため現地に赴くことができなかったため、オンライン会議を積極的に進めた。その結果、様々なアイディアが捻出され、当初想定していた以上の新たな光ファイバセンシング手法の発案ができた。これらは学会発表や、学術論文誌にて公開している。その意味で、新たなセンシング手法の検討については、当初の計画以上の進展が得られた。その一方で、現地での実験ができなかったことにより、実際の現場でセンシングを行う場合の課題やその対策の方針については遅れをとっており、全体としてはやや進捗は遅れていると判断する。

今後の研究の推進方策

2022年度になり、海外渡航が緩和されつつあるが、4月の現段階ではまだ慎重に状況を見極める必要がある。そこで、当初の計画をやや変更し、本年度は特に前半において2021年度に発案した手法の精度向上や問題点の洗い出しを進めるほか、現地での実験についてオンライン会議を通じて可能な限り事前検討を前進させることに力を入れる。その上で、渡航が可能になり次第、現地の電力施設にある光ファイバを利用した実験が円滑に手掛けられるよう準備を進めるようにする。現地の実験では、送電状態を変化させ、分布型光ファイバセンサで測定される電力線長手方向の温度分布や振動分布の変化との関係を明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍により共同研究先への渡航およびそこでの実験計画が進まなかったことにより、当初使用予定の旅費や機材等の購入のための物品費の使用がなくなり、次年度使用額が生じた。これらは、計画の変更により、翌年度以降の旅費や物品費として使用する予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2022 2021 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [国際共同研究] マレーシア国民大学(マレーシア)

    • 国名
      マレーシア
    • 外国機関名
      マレーシア国民大学
  • [雑誌論文] Brillouin gain spectrum manipulation using multifrequency pump and probe for slope-assisted BOTDA with wider dynamic range2022

    • 著者名/発表者名
      Hoshino Kazuki、Saito Daiki、Endo Yuma、Hasegawa Takahiro、Tanaka Yosuke
    • 雑誌名

      Applied Physics Express

      巻: 15 ページ: 022009~022009

    • DOI

      10.35848/1882-0786/ac4a0c

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Distributed strain sensing using slope assisted BOTDA based on virtual Brillouin gain spectrum synthesized by multi-frequency light2021

    • 著者名/発表者名
      Hoshino Kazuki、Saito Daiki、Zan Mohd Saiful Dzulkefly、Tanaka Yosuke
    • 雑誌名

      SPIE Proceedings Vol. 11914

      巻: = ページ: =

    • DOI

      10.1117/12.2603932

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] 光周波数コムとヘテロダイン検波を利用したブリュアンセンサ2022

    • 著者名/発表者名
      小野 拓真、田中 洋介、塩田 達俊
    • 学会等名
      2022年第69回応用物理学会春季学術講演会

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公開日: 2022-12-28  

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