研究課題/領域番号 |
21KK0068
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
石川 史太郎 北海道大学, 量子集積エレクトロニクス研究センター, 教授 (60456994)
|
研究分担者 |
富永 依里子 広島大学, 先進理工系科学研究科(先), 准教授 (40634936)
樋浦 諭志 北海道大学, 情報科学研究院, 准教授 (30799680)
|
研究期間 (年度) |
2021-10-07 – 2025-03-31
|
キーワード | ナノワイヤ / 半導体 / 通信帯光源 |
研究実績の概要 |
本研究では、通信帯域光源として期待できる希釈窒素・希釈ビスマス量子ナノ構造の新展開を目指し、未開拓の成長条件、構造探求を行う。2022年度はより通信帯域で高品質な光源の探求のため、薄膜において通信光源として大きな期待が寄せられたGaInNAs混晶の高品質ナノワイヤ結晶作製に挑戦した。これまでGaInNAsナノワイヤは合成には成功したものの構造、光学特性の良好なものではなく、その高品質化が困難であった。今回、加工基板を用いた選択成長を用いることで成長可能条件のをより広範に探求した。その結果、選択成長を用いない場合と比較して成長時圧力、供給Ga照射量は3倍以上程度の広範囲で良好な結晶成長が進行することを見出した。最適化された条件下では構造、光学特性ともに高品質なGaInNAs結晶が得られ、コア-マルチシェル積層構造でGaAs/GaInNAs多重量子井戸構造を得ることができた。同試料は連携するリンショピン大学研究者らによってその良好な光学特性が確かめられた。さらに、同グループからは従来提供していたGaNAsナノワイヤで特徴的なフォトン・アップコンバージョンが得られる特異な光学特性も判明した。また、低温成長GaAsBi薄膜において、分担者と従来報告の無い固相成長現象を見出し、その成長機構の詳細を明らかにすることに取り組めた。以上より、国際連携の強化に資する成果が得られた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
着手当初から継続するGaNAs系ナノワイヤ結晶成長について、開口部を設けた加工基板を用いた位置選択成長を行うことで構造、発光特性が優れた結晶成長を行えることを見出した。また、従来の加工基板を使用しない条件下では大容量合成が進展し、2インチ基板全面で良好なナノワイヤ積層構造が得られることが判明した。より良好な通信帯域光源の実現、実用に向けた大容量合成への展望が得られた。さらに、同材料からフォトンアップコンバージョンが得られる特異な光機能が判明した。GaAsBiの固相成長に関する知見も得られた。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでで得られた加工基板利用による選択成長、加工基板を用いない大容量合成、GaInNAs混晶、GaNAsBi混晶の有効性をより大きく活用した高品質な通信帯域半導体ナノ光源を開拓する。具体的には1.3μmを超える赤外帯域まで発光・動作波長を拡張し、長距離通信1.5μm帯までを見据えたより高効率な光源開発を連携研究者らと推進する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
初年度のコロナ感染下による渡航計画変更と代表者石川の大学異動により計画を改訂した。国際連携研究は良好に推進しており、渡航および共同研究実施を含めて次年度以降実施していく。
|