研究課題/領域番号 |
21KK0082
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
横田 有為 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (60517671)
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研究分担者 |
豊田 智史 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 准教授 (20529656)
吉野 将生 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 准教授 (30789938)
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研究期間 (年度) |
2021-10-07 – 2024-03-31
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キーワード | シンチレータ / ハロゲン化物 / ナノ構造化 |
研究実績の概要 |
本年度は、ハロゲン化物ナノ構造化シンチレータ結晶材料を作製するために必要な希土類ヨウ化物(REI3)とアルカリドル金属ヨウ化物(AEI2)の状態図作製を行い、各状態図において共晶点組成を明らかにするとともに、共晶点組成において共晶体構造を利用したナノ構造化シンチレータ結晶の作製を行った。その結果、BaI2/LuI3においてLuI3をロッド相シンチレータとするナノ構造化シンチレータ結晶の作製に成功した。Ce添加したBaI2/LuI3ナノ構造化シンチレータ結晶ではCe3+イオンに起因する高速の発光が確認された。 ハロゲン化物ナノ構造化シンチレータ結晶材料のX線イメージング特性評価を行うためのX線イメージングシステムの構築を行った。シンチレータによってX線から変換された蛍光を読み出すための対物レンズ、ミラー、レンズアタッチメント、科学計測用CMOSセンサーを選定し、X線イメージングシステムを構築した。 大規模な材料探索に向けた実験計画法を開発するため、機械学習の分野で知られるベイズ最適化法に注目し、大域的数理最適化を任意の次元パラメータで実行するためのアルゴリズムを実装した。また、シンチレータ特性の既存データベース(Lawrence Berkeley National Laboratory, http://scintillator.lbl.gov)に立脚して、発光強度、寿命、波長を説明するための物理モデル及びに相関度の高い材料パラメータを検討した。 国際共同研究としては、コロナ禍による研究員の往来は制限されていたものの、サンプル輸送を活用することで、チェコ物理研の高度光学特性評価技術を用いた物性測定を行うことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの研究によって、BaI2/LuI3ナノ構造化シンチレータ結晶の作製に成功し、さらにCe添加による発光も確認されている。当該結晶の物性評価体制も構築でき、機械学習の準備も順調に進んでおり、順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、今年度明らかにした状態図を用いたナノ構造化シンチレータ結晶の作製を進めるとともに、さらなる材料探索を臭化物や塩化物結晶へと広げる。さらに、既に開発したナノ構造化シンチレータ結晶に関しては、今年度構築した評価システムを用いて、イメージング特性評価試験を進めるとともに、チェコ物理研における高度光学特性評価を実施する。さらに、機械学習による材料設計のためのデータベース構築に関しても、来年度はこれまでのシンチレータ結晶材料における報告資料から化学式、結晶構造、特性評価結果等を抽出することで、より信頼性のあるビッグデータの確立を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のため、予定していた国際共同研究機関であるチェコ物理研への出張が制限されており、予定していた旅費を使用できなかった。そこで、来年度にチェコ物理研への出張を延期したため、その出張費を繰り越すこととした。
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