研究課題/領域番号 |
21KK0088
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
森垣 憲一 神戸大学, バイオシグナル総合研究センター, 准教授 (10358179)
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研究分担者 |
出羽 毅久 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70335082)
高木 大輔 摂南大学, 農学部, 助教 (80825654)
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研究期間 (年度) |
2021-10-07 – 2025-03-31
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キーワード | 光合成 / チラコイド膜 / 人工膜 |
研究実績の概要 |
植物の光合成初期反応の場であるチラコイド膜は、多様な膜タンパク質群が2次元膜に配置された超分子系である。2次元膜における動的な分子分布や超分子形成は、光合成機能の調節に本質的に重要でありながら解析が困難であり充分には理解されていない。本研究は、世界的にも研究代表者のみが持つチラコイド膜のパターン化作製技術とリーズ大学の持つナノ計測・ナノ操作技術を組み合わせて、パターン化人工膜に再構成された光合成関連分子の膜内分布、エネルギー移動、電子伝達機能をナノメートルスケールで制御、定量評価する技術を開発することを目指している。初年度には、リーズ大学のDr. Peter G. Adams、Dr. Stephen D. Evansらと日本研究グループとの間でオンライン形式でのミニシンポジウムを開催し、お互いの技術を紹介するとともに今後の共同研究の進め方を詳細に議論した。また、神戸大学グループよりリーズ大学にパターン化ポリマー脂質膜およびチラコイド膜を送付して、チラコイド・脂質ハイブリッド膜の導入および電気泳動の予備実験を行った。日本国内においても、研究代表者と研究分担者(出羽、高木)の打合せおよび予備実験(導電性ガラス基板表面におけるパターン化ポリマー膜の作製)を行った。これらの検討により今後、リーズ大学と共同でチラコイド膜の動的な2次元分子分布による光合成機能調節を、人工膜を用いて再現しナノメートルスケールで詳細に解析する新規手法論を検討する準備が整った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
植物の光合成初期反応の場であるチラコイド膜は、多様な膜タンパク質群が2次元膜に配置された超分子系である。2次元膜における動的な分子分布や超分子形成は、光合成機能の調節に本質的に重要でありながら解析が困難であり充分には理解されていない。本研究は、世界的にも研究代表者のみが持つチラコイド膜のパターン化作製技術とリーズ大学の持つナノ計測・ナノ操作技術を組み合わせて、パターン化人工膜に再構成された光合成関連分子の膜内分布、エネルギー移動、電子伝達機能をナノメートルスケールで制御、定量評価する技術を開発することを目指している。初年度には、リーズ大学のDr. Peter G. Adams、Dr. Stephen D. Evansらと日本研究グループとの間でオンライン形式でのミニシンポジウムを開催し、お互いの技術を紹介するとともに今後の共同研究の進め方を詳細に議論した。また、神戸大学グループよりリーズ大学にパターン化ポリマー脂質膜およびチラコイド膜を送付して、チラコイド・脂質ハイブリッド膜の導入および電気泳動の予備実験を行った。日本国内においても、研究代表者と研究分担者(出羽、高木)の打合せおよび予備実験を行った。これらの検討により今後、リーズ大学と共同でチラコイド膜の動的な2次元分子分布による光合成機能調節を、人工膜を用いて解析する新規手法論を検討する準備が整った。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、以下の検討を行うことで、パターン化人工膜に光合成分子機構を再構成して光合成関連分子の膜内分布、エネルギー移動、電子伝達機能をナノメートルスケールで制御、定量評価する技術を開発したい。 (1)パターン化人工膜の作製とナノ計測:光リソグラフィー技術を用いて光重合性脂質をガラス基板表面にパターン化重合し、モノマーを除去して形成された区画に、ホウレンソウから単離したチラコイド膜を導入する。分子分布、エネルギー移動を、リーズ大学においてAFM-FLIMで計測する。 (2)脂質組成、膜流動性が光合成機能に果たす役割の検証:チラコイド膜における脂質組成や膜流動性が光合成タンパク質群の2次元分布、活性、安定性に与える影響を検証するため、ホウレンソウ由来の天然チラコイド膜と精製されたチラコイド膜脂質(MGDG, DGDG)を異なる比率で混合して再構成し、脂質組成が光合成タンパク質の分子分布や電子伝達機能に与える影響を、AFM-FLIM解析により解明する。 (3)光合成機能(エネルギー移動・電荷分離反応)の再構成とナノ操作:パターン化人工膜においてチラコイド膜の動的な分子分布を再現するため、再構成された光合成関連分子の分布をナノ制御してエネルギー移動・電荷分離反応などを変調する。チラコイド膜よりも単純な分子構造を有する紅色光合成細菌の光収穫系複合体(LH2)や反応中心複合体(LH1-RC)を再構成する。膜内電気泳動を用いて光合成関連分子をパターン化膜内で2次元方向に移動させ特定部位に濃縮、集合構造(均一分散/相分離状態)を制御する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度には新型コロナウイルスの影響のため、国際共同研究先(英国・リーズ大学)への渡航ができなかった。そのため、打合せはオンライン形式で行い、試料を国際郵便で送付することで対応した。2022年度には国際共同研究先(英国・リーズ大学)への渡航、実験も含めて、より強力に共同研究を推進する予定であり、次年度使用分と請求分とを合わせた予算は、渡航旅費、試料調製費などに使用する計画である。
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