研究課題/領域番号 |
21KK0097
|
研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
當摩 哲也 金沢大学, ナノマテリアル研究所, 教授 (20415699)
|
研究分担者 |
SHAHIDUZZAMAN MD 金沢大学, ナノマテリアル研究所, 特任助教 (00822222)
中野 正浩 金沢大学, 物質化学系, 助教 (80724822)
|
研究期間 (年度) |
2021-10-07 – 2025-03-31
|
キーワード | ペロブスカイト太陽電池 / バックコンタクト |
研究実績の概要 |
我々は、従来のサンドイッチ型ペロブスカイト太陽電池が記録する変換効率25%を超える世界最高性能バックコンタクト型ペロブスカイト太陽電池の世界初の実現を目指している。これを達成するには、正孔と電子を個別に捕集するp層とn層交互配列構造の構築が必須であり、低コスト化のために我々のオリジナル技術である斜め蒸着による交互配列構造の作製を始めている。しかしながら、交互配列構造の最適膜厚、最適材料組成、材料の選定、製膜条件、太陽電池の作製条件など膨大な数のパラメーターを検討する必要があり、10年以上の試行錯誤による長期間の研究が必要となった。本提案の国際共同研究では、ペロブスカイト太陽電池のデバイスシミュレーションの第一人者(海外)と、計算に必要な情報を得るための膜物性評価の専門家(海外)との共同研究を通して、試行錯誤を必要としない短期間で最適化する新たな研究手法の確立と、従来とは異なるステージの膜成長学の体系の構築を行うことを目標とした。本年度は,その基礎となる研究として,新規半導体層の検討と交互配列構造をもたらす蒸着マスクの設計を行った。この蒸着マスクの使用法として,基板前にメッシュのマスクを置き、斜め蒸着源を2つ対局に設置し,この2つの蒸着源にそれぞれp型半導体材料とn型半導体材料を入れ,2つを同時に蒸着するとメッシュが影となり、p層とn層が交互配列した膜が得られる重要な部品である。コロナのため,国際共同研究は派遣ではなくオンライン会議での週一回の打ち合わせ形式で研究を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
鍵となるドナーアクセプター交互配列構造の作り方として,我々は蒸着法を提案している。本提案の国際共同研究では、この手法を応用したダブル斜め蒸着で交互配列構造を作製するする予定である。この手法は、基板前にメッシュのマスクを置き、斜め蒸着源を2つ対局に設置する。この2つの蒸着源にそれぞれp型半導体材料とn型半導体材料を入れる。2つを同時に蒸着するとメッシュが影となり、p層とn層が交互配列した膜が得られる。本年度は,そのためのマスクの設計を行い,各種メッシュサイズのマスクを作製した。また,新規半導体としてタングステン添加のZnOゾルゲル製膜や,アモルファス性の高い有機半導体膜を国際共同研究の相手であるカナダクイーンズ大のNunzi教授と共同で研究を行った。
|
今後の研究の推進方策 |
来年度は,交互配列構造のためのメッシュサイズ、マスクと基板の距離、得られる交互構造の幅や膜厚のコントロールなどの実データーを実験により取得することを目標とする。さらに,デバイスシミュレーションの技術を導入することで,最適な交互配列構造の算定を行う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナのため国際共同研究のための派遣ができなかったため。次年度では海外派遣の費用や研究費用として計上する。
|