研究課題/領域番号 |
21KK0109
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
小枝 壮太 近畿大学, 農学部, 准教授 (00629066)
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研究分担者 |
鍋島 朋之 山形大学, 農学部, 准教授 (10801920)
山本 宗立 鹿児島大学, 総合科学域総合研究学系, 准教授 (20528989)
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研究期間 (年度) |
2021-10-07 – 2026-03-31
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キーワード | トウガラシ / ベゴモウイルス / ジェミニウイルス / 黄化葉巻病 / 抵抗性遺伝子 / pepy-1 / 野菜 / ナス科 |
研究実績の概要 |
本年度はインドネシアアチェ州で実施した抵抗性遺伝子pepy-1の導入によるトウガラシにおける黄化葉巻病の防除効果、果実生産性への影響について調査し、論文として取りまとめた。これまでの研究(Koeda etal., 2021)ではPepYLCIVやPepYLCAVに抵抗性を示すBaPep-5(C. annuum)を選抜し、その抵抗性遺伝子としてPelotaをコードするpepy-1を単離した。これはトウガラシにおいて初めて単離されたベゴモウイルス抵抗性遺伝子である。本研究では、BaPep-5をベゴモウイルスによる被害が深刻なインドネシアのトウガラシ生産圃場において3ヵ年・3度の栽培試験を行った。調査より、BaPep-5は感受性品種と比較して、一貫して発病と病気の進行が遅く、果実生産性も高いことを明らかにした。さらに、3年目にはBaPep-5と感受性のBaPep-4の交雑F2集団(約500個体)を栽培し、pepy-1のホモ接合体では病気に強く、果実生産性が高い(感受性の2倍以上)ことを明らかにした。以上より、実験室環境だけではなく、実際の生産環境においてpepy-1はベゴモウイルスに対して有効な抵抗性を付与し、果実生産の向上に貢献することを示した。なお、pepy-1を有するトウガラシでも発病を抑制することはできなかったため、より高い防除効果を実現するためには複数の抵抗性遺伝子を導入したトウガラシ品種を育成する必要があると示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナウイルス感染症の流行により、2022年度末まで海外への渡航を行うことができなかった。しかし、その様な中でも現地の共同研究者と頻繁に連絡し、予定していた調査を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今回行った研究ではF2集団を用いることで、抵抗性遺伝子pepy-1の生産環境での有効性を検証した。現在、戻し交雑集団の準備についても進めており、2023年末にはBC3F3(pepy-1ホモ接合)が準備できる予定であり、2024年末にはBC5F3の採種完了を予定している。これらを用いることで、より正確にpepy-1の生産環境での有効性を検証する予定である。また研究計画にある台湾やインドなどでの栽培試験の実施に向けて、共同研究先であるWorld vegetable centerとも相談を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルス感染症による海外渡航が難しい状況が続いたため、本研究の主たる支出になる予定の旅費が少なくなったため。次年度以降に予定を海外渡航を進めていく。
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