研究課題/領域番号 |
21KK0111
|
研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
仲井 まどか 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (60302907)
|
研究分担者 |
浅野 眞一郎 北海道大学, 農学研究院, 教授 (60222585)
坂本 卓磨 東京農工大学, 学内共同利用施設等, 特任助教 (80895756)
|
研究期間 (年度) |
2021-10-07 – 2025-03-31
|
キーワード | タイワンカブトムシ / Nudivirus / 生物的防除 / 伝播 / ウイルス / 地域個体群 |
研究実績の概要 |
タイワンカブトムシ (別名サイカブトムシ:Oryctes rhinoceros) は、ヤシ類の害虫である。 本種の防除には、1970 年代から 1980 年代にかけて天敵ウイルスを用いた防除が実施され、 南太平洋のフィジーなどではヤシの被害を抑えることに成功した。しかし、2007 年にグアム (米国) にウイルス抵抗性のハプロタイプ (G タイプ) が侵入したことが報告され、その 後も G タイプの侵入が、パプアニューギニア、ソロモン諸島、ハワイなどに拡大している ことから太平洋州の各国でヤシ類の植物保護において大きな脅威になっている。また、パラオには G タイプとそれ以外のハプロタイプ (S タイプ) が混在しておりヤシの被害も少ない。本研究は、G タイプの害虫としての特徴と天敵ウイルスを用いた生物的防除の機構を解明することによりその防除の成否を決定する要因の解明を目的とする。本研究において国際共同研究を強化することにより、太平洋州全域のヤシ林の保護を実現させることを目指している。本研究の目的は以下の2点である。目的1) 天敵ウイルスに対する応答を含む G タイプの害虫としての特徴を解明する。 目的2) 天敵ウイルスによる本種の防除メカニズムを解明する。具体的には、グアム(米国)からG タイプのタイワンカブトムシ個体群を輸入し日本個体群とともにNudivirusに対する感受性を調査する。次に、フィジーからSタイプのタイワンカブトムシ個体群を輸入しこれも日本個体群とともにNudivirusに対する感受性を調査する。これらの結果を踏まえて、Nudivirusに対する感受性にグアム個体群(Gタイプ)とフィジー個体群(Sタイプ)で有意な差があるのかどうか確認する。また、Nudivirusの伝播量と伝播率が、実際に幼虫と成虫という異なるステージでどのような違いがあるのか、室内モデル実験により明らかにする。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
生物検定の方法が確立されたため、グアムからの個体群のNudivirus感受性調査を行なった。また、コロナ禍が過ぎて、日本とフィジーの直行便が開通したため、フィジーからの個体群の輸入を2回行った。しかし、フィジー個体群は、輸送途中に多くの個体が致死してしまった。今後もフィジーからの輸入を続けて、健全成虫を多く輸入してNudivirusに対する感受性調査を行う。
|
今後の研究の推進方策 |
研究基盤が整って、生物検定法が確立できたため、グアムとフィジーの個体群のNudivirus感受性を調べる生物検定を続行する。また、成虫と幼虫を用いたウイルスの伝播実験については、研究結果を論文にまとめて発表する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
フィジーから輸入したカブトムシが輸送中に致死してしまったので次年度にも生物検定を行う必要が生じた。
|