研究課題/領域番号 |
21KK0115
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
梶田 忠 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 教授 (80301117)
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研究分担者 |
和智 仲是 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 助教 (40635299) [辞退]
佐藤 行人 琉球大学, 医学部, 講師 (20566418)
今井 秀行 琉球大学, 理学部, 准教授 (10359987)
津田 吉晃 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (40769270)
ARTIGASRAMIREZ MARIADANIELA 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, ポスドク研究員 (40893269)
鍵谷 進乃介 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 専門研究員 (00914996) [辞退]
磯和 幸延 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 特命助教 (70782572)
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研究期間 (年度) |
2021-10-07 – 2027-03-31
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キーワード | 環境DNA / メタバーコーディング / 種多様性 / 底生生物 / 魚類 / マングローブ |
研究実績の概要 |
本研究は、マングローブ生態系の魚類と底生生物の生物多様性を、環境DNAメタバーコーディングを用いて全球的に把握することを目的にしている。広範囲な海外現地調査と国際共同研究を実施することで、これまでは十分に研究が進んでいなかった極めて広範囲な生物分布のパターンを、統一的な非侵襲的手法で、従来よりも早く容易に比較解析することが可能になる。 ■2022年4月には代表者がマレーシアサバ大学およびノッティンガム大学マレーシア校において、ボルネオ島(サバ州)および半島部における現地調査を実施するための準備を開始した。5月および6月にはマレーシアから共同研究者を招へいして、琉球大学において本研究に関連する国際ワークショップを実施した。また、本研究に関するレビュー論文の執筆を開始し、2023年3月に出版された。 ■8月からは代表者がマレーシアサバ大学に客員教員として滞在して、Sabah Biodiversity Centreへの調査許可申請を行った。また、マレーシアサバ大学における研究実施体制を現地の共同研究者らと共に整え、サバ州におけるフィールドワークと研究活動を開始した。また、2023年3月にはマレーシアにおいて国際ワークショップおよびシンポジウムを開催した。本研究の代表と分担者、マレーシアの共同研究者、ブラジルの共同研究者らが参加して、今後の研究活動と論文発表の計画をたてることができた。 ■マレーシア半島部などの現地調査で得られたサンプルについては、環境DNAメタバーコーディング解析を実施し、魚類などの種多様性のデータを得た。 ■11月には分担者がブラジルを訪れ、現地共同研究者と今後の研究実施計画について調整を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
■R4年度の当初は新型コロナウィルスの感染拡大に伴う渡航制限により、海外共同研究者との対面による共同研究の実施は、ほぼ不可能だった。その後、日本をはじめとする複数の国で渡航制限が緩和されたので、所属大学の事務担当部署の多大な協力を受け、2022年5月と6月に、日本において国際ワークショップを2回開催できた。また、活動制限が大幅に緩和されたが2023年3月にはマレーシアで国際ワークショップとシンポジウムを開催するなど、多国間の国際共同研究の実施には大きな進展があった。特に、ブラジルとの共同研究計画は順調に進み、11月にはブラジルで開催されたJSPS-CAPES二国間ワークショップの際に、また、3月にマレーシアで開催されたワークショップ・シンポジウムにおいて、都合2回、ブラジル側共同研究者と次年度の研究計画について具体的なスケジュールを立てることができた。 ■一方、2022年度中に計画していたマレーシア・サバ州内の現地調査は、予定よりもやや遅れている。サバ州における生物多様性研究に関連する全ての現地調査は、事前にSabah Biodiversity Centre (SaBC)に申請して、調査許可(Access Licence)を取得することが法令で定められている。申請書には、調査地域を管轄する組織や団体からのサポートレターを添付する必要があり、全ての書類を準備するには相当の労力と時間がかかる。本研究においても申請書を提出できたのは、代表者がサバ大学に客員教員として着任して、大学の事務方の協力を得て全てのサポートレターを取得できた8月末であった。また、調査許可が得られたのは11月になってからであったため、サバ州における現地調査は当初の計画よりも後ろにずらして実施することになった。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルスの感染拡大の影響が一段落し、海外との行き来の制限はほぼ無くなった。また、各国内での調査も、活動制限なく実施ができるようになってきた。そこで、2023年4月以降はマレーシアサバ大学を現地拠点として、当初計画に準じて、ボルネオ島における現地調査とマレー半島部の調査を実施する。すでに、5月および6月に、比較的規模の大きい調査計画が進んでいる。また、7月末にはコロンビアで開催されるマングローブ関係の国際会議、MMM6において研究成果を発表し、今後の研究計画をさらに進める。9月以降にはブラジルの共同研究者を日本に招へいして、具体的な現地調査許可申請やサンプリング方法の決定、および、実験やデータ解析についての協議をさらに進める。 また、7月にコロンビアで開かれるMMM6国際会議には、オーストラリアや中南米の共同研究者が参加を予定している。そこで、現地で対面にてミーティングを持つ機会を設け、今後の研究の進め方について協議を行う。当初計画ではオーストラリアでの現地調査の後に中南米での調査を予定していたが、ミーティングの結果次第では、順番を変更し、中南米の調査を先に始めることも検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの感染拡大等の影響により、当初予定していたよりも、マレーシアでの現地の調査開始時期が遅れ、全体の旅費の使用計画がやや後ろ倒しになってしまい、次年度使用額が生じた。この遅れは2023年度に実施する現地調査により解消される見込みである。
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備考 |
上記のホームページはJSPS研究拠点形成事業のものであるが、2022年度に開かれた4回のワークショップは全て本科研費事業が費用の一部を負担して実施したものである。
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