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2023 年度 実施状況報告書

肥料の小分け販売が少量施肥技術の採用と稲作生産性に与える影響:マダガスカルの事例

研究課題

研究課題/領域番号 21KK0116
研究機関筑波大学

研究代表者

中野 優子  筑波大学, 人文社会系, 教授 (60648674)

研究分担者 MAGEZI EUSTADIUS・FRANCIS  東北大学, 農学研究科, 助教 (40909222)
AungZawOo  国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 生産環境・畜産領域, 主任研究員 (90909772)
研究期間 (年度) 2021-10-07 – 2026-03-31
キーワード少量施肥技術 / 農業生産性 / アフリカ / マダガスカル
研究実績の概要

化学肥料の投入量が極めて少ないことが、アフリカの作物生産の大きな阻害要因となって
いる。少量のリン肥料を加えた泥にイネの苗を浸してから移植するリン浸漬処理(Pdipping)は、熱帯にみられるリン吸着能の高い土壌でも優れた効果を発揮し、かつ肥料購買力の限られた小規模農家でも実践できることから、イネ収量改善の打開策として有望視されている。しかし、アフリカでは肥料市場が未発達であり、特にリン酸肥料を購入できないことが、同技術の普及の制約になる可能性がある。
そこで本研究では、マダガスカルの政府普及機関と民間の肥料会社と連携して、P-dippingの技術研修と化学肥料の小売り販売実験を行い、少量の肥料でも効果的にイネ収量を改善できる技術の普及と化学肥料の市場の拡大を同時に起こすことが可能かについて検証する。
2021年1月―3月にベースライン調査を行い、稲作の技術採用、生産性に関するデータを600家計の農家から収集した。2021年10月から2022年5月にP-dippingに関する稲作技術研修をランダムに選定した農家を対象に行った。その際にはリン酸肥料は無料で配布した。その後2022年10月から12月にかけて中間調査を行い、同じ農家に稲作技術採用と生産性に関する聞き取り調査を行った。さらに、2022年10月から2023年5月にかけての耕作期に肥料商と農家に対する技術研修を行い、肥料商によるリン酸肥料の販売実験を開始した。2023年3-5月にデータ収集を行い、2022年10月から2023年5月の耕作期に関するデータを収集した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2023年に調査が終了した後、さらに2023年10月-2024年5月の耕作期にかけて、肥料の販売実験を行った。2022年10月ー2023年の耕作期は研究者側が小売商まで必要な量の肥料を届けていたが、それは今後の肥料市場にとっては持続可能ではない。そのため、2023年10月からの耕作期には、研究者側の一切の介入なしに、村に存在する肥料の小売商が大手の肥料商から肥料を購入して販売する形で実験を行った。現在その結果のデータを収集中であり、データの収集が終わり次第、分析を開始する。

今後の研究の推進方策

2024年の8月頃には全てのデータ収集が完了する予定であるため、変数を計算してデータの構築を進める。データの構築が終わったら分析を開始し、論文を執筆する。論文は日本経済学会や開発経済学会で発表したのち、国際学術誌に投稿する。

次年度使用額が生じた理由

調査は現地調査機関に委託する形で行われたが、想定よりも安価に委託することができたため、次年度使用額が生じた。そのため、2023年10月から2024年5月の耕作期に、完全に市場に任せた形での肥料の販売実験を行うことが可能になった。本年度(2024年8月頃)に再調査を行うことで、完全に市場に任せた状況でどの程度肥料市場が機能し、P-dippingが普及するのかについての分析を行う。

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公開日: 2024-12-25  

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