研究課題/領域番号 |
21KK0119
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
三谷 羊平 京都大学, 農学研究科, 准教授 (70647172)
|
研究分担者 |
三浦 憲 京都大学, 農学研究科, 准教授 (00876097)
新井 雄喜 松山大学, 人文学部, 准教授 (90866873)
梅津 千恵子 京都大学, 農学研究科, 研究員 (40294251)
岩崎 慎平 福岡女子大学, 国際文理学部, 准教授 (20708028)
|
研究期間 (年度) |
2021-10-07 – 2026-03-31
|
キーワード | 持続的資源管理 / 貧困削減 / 零細漁民 / クラブバンク / フィールド実験 |
研究実績の概要 |
開発途上国における地域生態系の保全と地域住民の経済発展の両立は、人類社会の持続可能な発展の実現に不可欠な重要課題である。本研究プロジェクトでは、 タイの海洋生態系の保全と現地零細漁民の貧困削減の両立を事例として、日本とタイの生態学・経済学・環境学者からなる国際研究グループを構築し、途上国における持続可能な資源管理手法の開発と実践を試みる。特に本研究では「クラブバンク」という漁民参加型資源管理手法に着目し、その導入と制度設計が、タイ 沿岸地域の零細漁村における水産資源保全と経済発展に与える効果を、サーベイ調査、ケーススタディ、フィールド実験を用いて明らかにする。当該年度の実績は以下の通り。経済班は、三谷がタイのAttanovichを訪問し共同研究を進め、トラン県などのクラブバンクを視察した。また、カセサート大学とRambhai Barni Rajabhat大学でクラブバンクに関するワークショップを開催し、これまでの研究成果を報告しフィードバックを得た。タイの240を超える漁民を対象としたフィールド実験の結果を分析し、クラブバンク活動への参加が漁民間の信頼や協力を高めるという結果を整理した。複数の学会、ワークショップ、および大学のセミナーで報告し、様々なフィードバックを得た。現在、論文執筆中である。また、コミュニティベースの共有資源管理手法についてフィールド実験を用いた経済研究を収集してレビュー論文を執筆中である。環境班は、新井がトラン県を訪問し、現地の共同研究者たちと150を超えるクラブバンクグループを調査した。漁民の漁業活動や経済状態及びグループの活動について基礎的なデータを収集し、現状や課題を整理した。以上のように、経済学と環境学の両側面から、クラブバンクが社会資本形成へ果たす役割を分析している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現地調査やフィールド実験など予定通りに進んでいる。レビュー論文の執筆は当初の予定より少し遅れているが、データ収集などは終了しており、来年度前半に投稿する予定である。フィールド実験の論文化は予定通り進んでおり、来年度に執筆完了し、来年度末までに学術誌に投稿する予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
研究計画に沿って、追加のフィールドサーベイとフィールド実験を用いてデータ収集を行う。得られたデータを分析し、論文を執筆し、国際学会などで報告し、論文を投稿する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
現地共同研究者や対象となる漁民の時季的な都合から現地調査と現地におけるフィールド実験の実施日程を調整する必要があったため。
|