研究課題/領域番号 |
21KK0132
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田村 実 京都大学, 理学研究科, 教授 (20227292)
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研究分担者 |
布施 静香 京都大学, 理学研究科, 助教 (30344386)
田金 秀一郎 鹿児島大学, 総合研究博物館, 特任助教 (10616080)
野田 博士 京都大学, 理学研究科, 研究員 (50893369)
李 忠建 京都大学, 理学研究科, 教務補佐員 (20910699)
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研究期間 (年度) |
2021-10-07 – 2026-03-31
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キーワード | 単子葉植物 |
研究実績の概要 |
2021年度は、新型コロナ感染拡大状況等を考慮して、タイへの渡航を控え、日本国内の植物標本庫に収蔵されているタイ産さく葉標本の形態解析と微小葉片からのDNA抽出を行なった。 実際には、多くのタイ産標本が収蔵されている京都大学、九州大学、鹿児島大学、国立科学博物館の各植物標本庫に行き、タイ産標本を使わせて頂きながら、主にクサスギカズラ科、ヤマノイモ科、ツユクサ科、キンバイザサ科を中心に研究を進めた。 形態解析の結果、クサスギカズラ科ジャノヒゲ属のOphiopogon intermedius、O. siamensis、ツユクサ科ツユクサ属のCommelina diffusa(シマツユクサ)、ツユクサ科イボクサ属のMurdannia bracteataなどの各種の中には、明らかに異なる複数の系統が含まれていることを示す結果が得られつつある。 また、タイ西部のカンチャナブリーから大きな葉を持つ未知のツユクサ属植物を見つけ、タイ南部のナコーンシータマラートからはホウライツユクサ(Commelina auriculata)に似ているが形態的に異なる未知の植物を発見し、それぞれ新種の可能性があることを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度は、新型コロナ感染拡大状況等を考慮して、タイへの渡航を控えたため、現地での野外調査を行うことはできなかったが、その分、日本国内で可能な範囲内で、植物さく葉標本を用いた研究を綿密に行うことができた。これにより、分類群によっては、2022年度以降の現地野外調査の目的をかなり明確に絞り込むことができたため。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度以降については、とにかくまず、タイでの現地野外調査を遂行する。そして、生育地評価・形態解析・核型分析・フローサイトメトリー倍数性解析・サンガー法による葉緑体DNA解析・MIG-seq法やRADseq法によるゲノムワイド解析に取り掛かる。ゲノムワイド解析をRADseq法で行う場合は、葉緑体DNA解析はサンガー法ではなく、ゲノムワイドデータに基づいた葉緑体全ゲノム解析に切り替えることも考えている。 最終的には、これらの結果から、タイ産単子葉植物の生物学的種概念に基づいた種の輪郭を、可能な限り示すことを目指している。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度は、新型コロナ感染拡大状況等を考慮してタイへの渡航を控え、日本国内の標本庫においてタイ産植物の標本調査を行った。そのため、海外調査に関連して使用する予定であった旅費と物品費に未使用額が生じた。 2022年度は、タイでの現地野外調査を遂行し、2021年度の植物標本調査の成果も加えて各種解析を進める。
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