研究課題/領域番号 |
21KK0133
|
研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
土岐田 昌和 東邦大学, 理学部, 准教授 (80422921)
|
研究分担者 |
足立 礼孝 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (10631533)
浅原 正和 愛知学院大学, 教養部, 准教授 (20709399)
|
研究期間 (年度) |
2021-10-07 – 2026-03-31
|
キーワード | コウモリ / 適応放散 / 顔面形態 / 比較 / 胚発生 |
研究実績の概要 |
本年度は新型コロナウィルス蔓延の影響で国外での研究活動ができず、研究試料となる外国産コウモリの胚を入手することができなかった。そこで、次年度以降のコウモリ胚の収集およびその日本への輸入を実現すべく、国外共同研究者と綿密な協議、調整を行った。また、次年度以降に実施する予定である外国産コウモリの顔面形成の調査に先駆けて、当研究室が保有している国内産コウモリの胚を利用して、顔面内部における組織形態の形成様式についての解析を実施した。本解析では鼻から超音波を発射する系統のコウモリが鼻先にもつ鼻葉という上皮性の付属器に着目し、鼻葉の獲得に伴う顔面内部組織の形態的変化を調査した。鼻葉をもつキクガシラコウモリと鼻葉をもたないユビナガコウモリおよびエジプトルーセットオオコウモリの胚標本の頭部について、抗ミオシン重鎖抗体を用いて免疫染色を行うことで、顔面内部に分布する表情筋を検出した。さらに、画像解析ソフトAmira 5.0を用いて顔面内部組織の三次元再構築モデルを作成し、三次元モデルの形態を上記のコウモリ3種間で比較した。比較調査の結果、鼻葉をもつキクガシラコウモリでは、本来洞毛を動かす役割を担うMusculus maxillolabialisと呼ばれる筋が鼻葉を動かすための筋へと変化していることを突き止めた。本調査の成果を論文にまとめ、発生生物学分野の国際誌であるDevelopmental Dynamics誌に投稿、受理された。2022年3月末には第127回日本解剖学会総会・全国学術集会での企画シンポジウム『異分野融合による形態進化学の新たな展開』に演者として招かれ、非モデル生物を用いた比較発生学的研究に関する口頭発表を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウィルスの世界的流行の余波を受け、現時点では海外渡航が難しい状況であるため、海外の共同研究先を訪問することができず、調査に遅れが生じている状況である。
|
今後の研究の推進方策 |
令和3年度はこれまで既に集めていた国内産コウモリの胚標本を用いて解析を行ったが、本来予定していた実験を進めるには、外国産コウモリの胚標本が必要である。現在も新型コロナウイルス感染症は収束に向かっているとは言い難く、試料収集のための国外での野外調査の可否については不透明である。解析対象であるコウモリ種の胚標本の収集が本研究の成否を握っているため、新型コロナウイルスを巡る国内外の情勢を引き続き注視しながら、令和4年度の研究を進めていきたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2021年度は本科研費交付後、新型コロナウィルスの世界的流行により、海外の研究機関を訪問しての国際共同研究の実施が困難な状況が続いた。そのため、科研費を使用しない形での研究準備に専念することとなり、次年度使用額が発生した。
|