研究課題/領域番号 |
21KK0134
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
長井 淳 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, チームリーダー (60892586)
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研究分担者 |
早野 元詞 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任講師 (30593644)
奥田 覚 金沢大学, ナノ生命科学研究所, 准教授 (80707836)
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研究期間 (年度) |
2021-10-07 – 2025-03-31
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キーワード | タンパク / 脳 / 老化 |
研究実績の概要 |
ECMはすべての組織に存在する非細胞性の構成要素である。生化学的(分子シグナリング 伝達の誘発・仲介)および生物力学的(物理的な足場)の両面で機能すると考えられている。これまで、ECMをコードする遺伝子を欠損させる研究により、ECM が発達(認知機能獲得)段階でシナプス可塑性に影響を与えることが示されてきた。しかし、老化(認知機能低下)における脳ECMの機能については未解明な点が多く残されている。本研究では、神経科学・老化・生物力学をそれぞれ専門とした学際的なチームが、国際共同研究を行うことにより、コラーゲンに代表されるシナプス周囲のECMを観察・操作する技術を研究開発することを目的としている。この目的を達成するために、三年度目にあたる今年度は、昨年度までに取得した記憶を司る脳領域においてECM分解をしたマウスが認知能力が有意に低下するというデータを受け、このマウス脳組織の力学物性を明らかにすることを目指して、組織の力学物性と細胞形態を同時に計測する実験系を確立した。これらの準備は次年度に行う実験計画の重要な基盤となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
COVID-19感染拡大防止の観点から渡航が著しく制限された研究開始当初とは異なり、国を跨いだ議論が闊達に行われた。ECMの操作系、マウスモデルの作成、その効果の計測系について実際的な国際共同研究の開始がなされ、特にマウス脳組織の力学物性と組織の細胞密度、細胞形態を同時計測する実験系を確立したことで、本年度の進捗としては十分であったと評価している。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、今年度に確立した組織の力学物性と細胞形態を同時に計測する実験系を用いて、ECM分解/増強を施した脳組織において力学特性を計測する。さらに、認知能力の低下と老化の関連を調べるため、老化モデルマウスにおいてECM関連の分子発現変化とその力学特性の関連を明らかにする。以上のように、引き続き国際共同研究の要である操作系・観測系の開発を通して、脳回路および認知機能におけるECMの機能を明らかにすることを目的として、実験を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
物価・為替変動の影響で軽微な輸送費用の誤差があり端数が生じたので次年度に使用を予定している。
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