研究課題/領域番号 |
21KK0137
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岩永 史朗 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (20314510)
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研究分担者 |
荒瀬 尚 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (10261900)
迫口 瑛史 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (60914174)
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研究期間 (年度) |
2021-10-07 – 2024-03-31
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キーワード | マラリア / 患者抗体 / 表面抗原 |
研究実績の概要 |
熱帯熱マラリアはPlasmodium falciparum(和名:熱帯熱マラリア原虫)の感染により引き起こされ、年間数十万人規模の死者を出す。申請者はグループ原虫由来の赤血球表面タンパク質であるRIFINがヒトの免疫抑制ペア型受容体(以下、抑制型受容体)と結合することを発見し、結合による免疫抑制とマラリア重症化の関連を指摘した。一方、欧米の研究グループはマラリア患者より抑制型受容体の一部が挿入された特殊な抗体(以下、受容体挿入抗体)を発見し、更にこれが複数のRIFINを認識できること、並びに流行地住民に優位に高く保有されることを示した。これらのin vitroの成果よりRIFINを標的とした新規ワクチン開発が期待される。しかし熱帯熱マラリア原虫がヒトにしか感染しないこと、及び多くの抑制型受容体がヒトにしか存在しないことから受容体挿入抗体とRIFINとの結合によるマラリア発症・重症化阻止についてのin vivoの知見は得られていない。そこで本研究ではインドネシア・パプア州のマラリア患者・住民を対象とした疫学調査を実施し、受容体挿入抗体の保有とマラリア臨床症状との関連を検討する。本年度は現地研究者と協力し、合計45名の健常者、感染者、不顕性感染者から血液スポットサンプル、血漿サンプルを得た。次に血漿サンプルからDNAを抽出し、PCRによって受容体挿入抗体の有無を調べたが、今回のサンプルからは抗体は検出されなかった。一方、並行して進めているRIFINの解析から新たに受容体を相互作用する分子の同定に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現地でのコロナの状況を検討しながら、タイミング良くフィールド活動を再開することができ、患者サンプルを確保することができた。これにより実験を行うにあたり必要な研究試料を確保できる目処がついた。また、受容体と相互作用する新たなRIFINの同定に成功し、研究を進展できた。
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今後の研究の推進方策 |
患者サンプルの解析を進め、PCR以外の手法で受容体挿入抗体の有無を検出する。また同時にRIFIN側の解析を進め、受容体挿入抗体と反応するRIFINの候補分子を増やし、検出の選択肢を増やす。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度の前半はコロナの影響のため、フィールドワークを見合わせていたが、後半に入り再開した。よってフィールド活動を見合わせた分の予算に未使用額が生じた。次年度にこの分の執行を計画する。
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