研究課題
本研究は、Boston Children’s Hospitalとの国際共同研究であり、①国際GWASメタ解析で明らかになった7つの新たな疾患感受性遺伝子候補領域から疾患感受性遺伝子を同定すること、②日本人小児NS患者の病因として抗ネフリン自己抗体がどの程度関与しているのか、どのようなメカニズムでネフリンに対する自己免疫が生じるのかを疾患感受性遺伝子の側面から解明することを目的とする。令和5年度は、令和4年度までに多民族GWASメタ解析により同定した7つの疾患感受性遺伝子を含む遺伝子領域(HLA-DQA1, AH1, CALHM6, TNFSF15)や疾患感受性遺伝子の可能性があると考えられる遺伝子領域(GSDMB, ORMDL3等)のバリアントが免疫細胞や腎組織のeQTLとして作用するか否かを検討したところ、これらのバリアントは免疫細胞のeQTLとして当該遺伝子の発現には影響を与えるが、腎組織ではeQTLとして当該遺伝子の発現には影響しないことが判明した。一方、polygenic risk scoreが発症年齢と関連することやネフリンをコードする遺伝子NPHS1は東アジア人特有の疾患感受性遺伝子であることも明らかになった(Nat Commun 2023, doi:10.1038/s41467-023-37985-w)。我々は、シスメックス社との共同研究で、より感度の高い抗ネフリン抗体ELISA検出系を開発し、ボストンで測定した検体を中心に再検したところ、70%を超える症例で抗ネフリン抗体が陽性であることが判明した。現在、さらに感度の高い抗ネフリン抗体検出系を開発中であり、研究分担者の堀之内を代表とする全国多施設による研究コンソーシアムを立ち上げ、わが国の小児ネフローゼ症候群における抗ネフリン抗体の陽性率等を検討するための検体・臨床情報収集を開始した。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件)
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