研究課題/領域番号 |
21KK0154
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
佐原 寿史 鹿児島大学, 総合科学域総合研究学系, 准教授 (90452333)
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研究分担者 |
清水 章 日本医科大学, 大学院医学研究科, 大学院教授 (00256942)
岩永 健裕 鹿児島大学, 医用ミニブタ・先端医療開発研究センター, 特任助教 (40518916)
竹内 和博 日本医科大学, 大学院医学研究科, ポストドクター (50648772)
関島 光裕 鹿児島大学, 医用ミニブタ・先端医療開発研究センター, 特任助教 (20568589) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2021-10-07 – 2025-03-31
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キーワード | 移植・再生医療 / 異種移植 / 国際共同研究 / 臓器保存 / 遺伝子改変動物 / 免疫寛容誘導 |
研究実績の概要 |
ドナー臓器不足は移植医療における最大の課題であるが、遺伝子改変ブタをドナーとする異種移植の直近5年間の成績向上は目覚ましく、ヒヒへの移植により腎臓では6-8ヶ月、同所性心臓移植でも6ヶ月以上にわたる生命維持が可能であるという結果が得られ、米国では臨床試験開始の機運が高まる。本研究では、【異種腎移植の臨床応用を目指す高品質なドナー臓器確保とレシピエント治療戦略の確立】および【全ての臓器での異種移植の安全性・成績向上】を主テーマとする国際共同研究に取り組み、臨床試験開始に必要となる知見を得るとともに、日本における異種移植研究を国際レベルで効率的に推進することを目的として研究を開始した。特に今回の国際共同研究では、研究代表者が米国に直接出向き、分担者や米国研究チームと協力し、異種移植を夢の医療から実践的な治療法への展開をはかることを大きな目的としている。 令和3年度の最も大きなポイントとして、米国における臨床異種移植の実施という点が挙げられる(腎臓および心臓)。日本国内で得られる情報だけでなく、米国共同研究者と本件に関して会議を行い、米国で臨床応用化された背景、詳細な結果や今回の結果に基づく課題などを直接把握することが可能であり、今後の日本での異種移植研究推進に対し有用な情報を得た。また、異種腎移植の臨床応用を目指す高品質なドナー臓器確保とレシピエント治療戦略の確立という点に関しては、日本で実施したブタ腎臓を用いた灌流冷却保存実験の結果を基に米国でブタ・霊長類間の異種移植実験を実施している。今後相互にデーターを共有化することによって、研究の進捗をはかりたいと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Web会議等の媒体を利用して、日本・米国相互で可能な限りデーターを共有することによって、確実な進捗は得ている。しかし、コロナ禍のため日米相互の往来は制限されており、個々の実験の詳細な経過の把握、あるいは幅広い討議を行うためには不可欠な、現地でなくては実施が難しい共同研究者のチームの他の構成員を含めたmeetingは行うことができず、さらに移植手術・病理学的検討・日本におけるブタの開発等技術的な指導は不可能であった。このため実験全体の進捗としてはやや遅れが生じていると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度は、Web会議を通じて米国独自で進めている実験に関する情報を更に正確に把握することに努めるとともに、日米の往来に制限がない状況となり次第、直接対面での詳細なデーター確認を中心とする会議の実施、あるいは技術指導を行う機会を得ることによって、研究を予定通りに進捗できるよう対策を講ずる。また全ての臓器での異種移植の安全性・成績向上という点に関して、異種肺移植の成績向上をはかるため、グラフト内の免疫応答を司る新たな病変進展/制御/治療標的因子の探索は必須であるため、日本においてこの点を中心とする検討を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画していた研究代表者や分担者の渡米による会議や技術指導、あるいは米国共同研究者の日本における技術指導などを実施することができず、次年度使用額が生じている。日本で行いうる実験をさらに進捗させることに加え、渡航制限の状況に応じて速やかに日米双方での直接的な交流を再開することによって、計画的な経費執行に努める。
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