研究課題/領域番号 |
21KK0172
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研究機関 | 国立研究開発法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
鈴木 武博 国立研究開発法人国立環境研究所, 環境リスク・健康領域, 主任研究員 (60425494)
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研究分担者 |
Tin・Tin Win・Shwe 国立研究開発法人国立環境研究所, 環境リスク・健康領域, シニア研究員 (00391128)
中島 大介 国立研究開発法人国立環境研究所, 環境リスク・健康領域, 室長 (10281411)
柳下 真由子 県立広島大学, 生物資源科学部, 助教 (10760960)
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研究期間 (年度) |
2021-10-07 – 2026-03-31
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キーワード | PM2.5 / 個人曝露評価 / 妊娠期曝露 / DNAメチル化 |
研究実績の概要 |
2023年度はヘイズシーズンである10月にPM2.5粉じん中の化学成分分析に向けて、ハイボリュームエアサンプラーによる大気粉じん試料の収集を、マレーシアの都市域であるクアラルンプール近郊および比較的人口の少ないクアラトレンガヌにおいて試行した。またその渡航期間にポケットPM2.5センサーを用いて、クアラルンプール、クアラトレンガヌにて個人ばく露測定を実施した。その結果、ポケットPM2.5センサーの測定では二地域の有意な差は見られなかったが、ハイボリュームエアサンプラーで捕集した大気粉じん濃度を比較するとヘイズシーズンに微増であった。一方、捕集した粉じん試料について全自動同定定量システム(AIQS-GC)へ供したところいずれの試料からも主に可塑剤や難燃剤が検出され、検出された化学物質の総濃度を比較するとヘイズシーズンに有意な差は認められなかった。つまり粉じん濃度を比較した場合、地域差や季節差は明らかにならないが化学物質の成分分析を行うことでPM2.5の性質が明らかになったと言える。 生体サンプルについては、血液採取よりも体への負担が少ない唾液や頬粘膜からDNAを抽出する条件を検討し、DNAメチル化解析をおこなうために十分なDNA量をとる条件を確立した。さらに、妊娠後期に1週間PM2.5の個人曝露量を測定すること、および出産時の臍帯血採取と生後1ヶ月の乳児から頬粘膜を採取することについて、UniSZAの医療チームと打ち合わせをおこない、サンプルの量、採取方法などを決定した。 ミャンマーのUM1チームは、地区ごとのPM2.5濃度測定をおこなっており、マンダレーのヤダナボン大学と、ラーショーのラーショー大学で、朝昼夜のPM2.5濃度の違いや、どちらの大学でもU.S. Environmental Protection Agencyの大気環境基準より高濃度であることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
マレーシアにおける妊婦のPM2.5個人曝露量測定と生体サンプルの採取には、UniSZAでの倫理審査の承認が必要であるが、この倫理審査に非常に時間がかかっており、倫理審査の承認が必要な研究部分について、遅れていると考えている。UniSZA側も、UniSZA外の病院の産婦人科と小児科で生体サンプルの採取を行うより、UniSZA内部の病院の産婦人科や小児科のほうが連携がスムーズであると考え、UniSZA内部の病院と研究内容について綿密な打ち合わせをしており、倫理審査が承認されればすぐにでもPM2.5個人曝露量測定と生体サンプルの採取ができるように準備をすすめている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、ポケットPM2.5センサーPROの校正・検証を日本国内で続け、医学倫理審査の承認後に、マレーシアにおいて妊娠後期の妊婦にPM2.5個人曝露量を解析可能なポケットPM2.5センサーPROを装着し、PM2.5濃度の個人曝露量を定量的に明らかにする。また、PM2.5成分分析に向けて、再度ハイボリュームエアサンプラーによる大気サンプル収集をおこなう予定である。 PM2.5濃度の個人曝露量を測定した妊婦及び産まれた子供から臍帯血と頬粘膜を採取し、それらのDNAで、次世代シークエンスによるDNA全体のメチル化解析を行う。PM2.5濃度により変化したDNAメチル化部位を、性差にも着目して明らかにする。最終的に、それらのDNAメチル化変化へのPM2.5各種成分の寄与を明らかにする。問診票等による子供の健康調査、行動調査も行い、子供の健康異常が観測された場合は、DNAメチル化変化及びPM2.5各種成分と対応させることでPM2.5曝露による次世代健康影響メカニズムの一端の解明を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
倫理審査の関係で、2023年度も生体サンプルの採取がまだ行えていないため、生体試料(臍帯血、唾液、頬粘膜)を採取する試薬、生体試料を保存するチューブ、DNA抽出用試薬、DNAメチル化解析に使用する試薬などに関して次年度使用額が生じた。次年度は、生体試料(臍帯血、唾液、頬粘膜)を採取する試薬、生体試料を保存するチューブ、DNA抽出用試薬、DNAメチル化解析に使用する試薬に加え、DNAメチル化解析の受託費、PM2.5成分分析に関連する試薬、現地への旅費、実験補助の人件費に助成金を使用する。
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