研究課題/領域番号 |
21KK0176
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研究機関 | 京都女子大学 |
研究代表者 |
辻 雅弘 京都女子大学, 家政学部, 教授 (80579467)
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研究分担者 |
佐藤 義朗 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院准教授 (30435862)
小野田 淳人 山陽小野田市立山口東京理科大学, 薬学部, 助教 (70835389)
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研究期間 (年度) |
2021-10-07 – 2027-03-31
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キーワード | 低出生体重児 / 神経発達障害 / 間葉系幹細胞 / 母乳中成分 |
研究実績の概要 |
低出生体重児の神経発達障害の発症機序解明と幹細胞を用いた予防法開発に関しては、フランスCNRS兼Aix-Marseille大学のJ-Olivier Coq上級研究員らと研究成果を2023年3月に論文として発表した。ヒト臍帯由来間葉系幹細胞(UC-MSC)の静脈内投与は、低出生体重ラットの社会性欠如を部分的に改善するなどの効果を認めたが、多動などに対しては効果を認めなかった。作用機序としても、抗炎症作用は明確でなかった。そもそも本モデルラットにおける炎症の惹起は軽微であるため、UC-MSC投与の抗炎症作用を明確に検証することはできなかった。 2023年9月から10月および2024年2月から3月にマルセイユに滞在し、子宮内低灌流による低出生体重仔モデルラットを作製し、UC-MS投与実験を共同で行った。 母乳中成分を用いた予防法開発に関しては、母乳中成分であるラクトフェリンの効果を同モデルラットにおいて検証したが、効果は部分的かつ軽微であった。2023年11月にスイスのGeneva大学のStephane Sizonenko准教授の研究室を訪問し、それらの結果を提示して、研究相談を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
幹細胞を用いた予防法開発に関しては、順調に進捗しており、第2報目の論文に向けて、フランスの研究者と共同研究を進めている。 母乳中成分を用いた予防法開発に関しては、ラクトフェリンの効果が期待した程ではなく、現時点までに得られたデータを論文として発表する予定とし、スイスの研究者らと予定していた詳細な機序検討は先送りすることになった。
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今後の研究の推進方策 |
幹細胞を用いた予防法開発に重点を置いて研究を進める。新たに英国Oxford大学のZoltan Molnar教授と共同研究を進めることになった。Molnar教授とは、予防法開発よりも発達障害の発症機序検討の面で共同研究を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度は当初の予定よりも長期間フランスに滞在して研究を行ったこともあり、ほぼ計画した額を使用したが、2022年度までの使用額はコロナ禍の影響があり、当初の予定よりも少ないため、繰越金が生じており、次年度使用額が生じている。今後は概ね当初の計画どおりの使用額となる予定である。なお、使用額の内訳としては、英国への渡航費が追加され、代わりにスイスへの渡航費は減る予定である。
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