研究課題/領域番号 |
21KK0185
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
猪股 弥生 金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 准教授 (90469792)
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研究分担者 |
梶野 瑞王 気象庁気象研究所, 全球大気海洋研究部, 主任研究官 (00447939)
瀬戸 章文 金沢大学, フロンティア工学系, 教授 (40344155)
植田 洋匡 一般財団法人日本環境衛生センターアジア大気汚染研究センター, その他, その他 (70026186)
川端 康弘 気象庁気象研究所, 応用気象研究部, 研究官 (90742726)
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研究期間 (年度) |
2021-10-07 – 2025-03-31
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キーワード | エアロゾル / 放射 / 気候変動 / モデルシミュレーション |
研究実績の概要 |
本研究では、都市域における大気汚染物質が、気象・気候に与えるメカニズムとその影響 を観測とモデルを用いて明らかにし、最終的には地球温暖化への予測精度向上を目指す。 大気エアロゾルは、短波・長波放射による加熱・冷却を通して大気成層を変化させ、乱流拡散を局所的に1-2桁変化させること、また水分凝結が促進されることで粒子の直径が増大し、放射冷却をさらに加速し、霧、雲の発達を大きく変化させる。このような乱流拡散と雲物理変化は、エアロゾルの物理・化学特性を連鎖的に変えるため、大気汚染物質が放射や気候変動に相乗的影響を及ぼしていると考えられる。現在のモデルではこのような素過程が考慮されておらず、これが温暖化予測精度不確実性の一因となっている。 そこで日本よりも大気汚染が深刻である中国・北京にある気象タワー(高さ330m)を使用した鉛直方向の大気エアロゾル粒径分布・光学特性・視程・放射等の観測を行い、エアロゾル動力学、短波・長波放射、乱流拡散、雲物理過程などの素過程及びその相乗効果を考慮した化学輸送モデルを再構築する。これにより、大気汚染物質と都市気象変化の相乗作用や地球温暖化への影響を評価する。 しかしながら、新型コロナウィルス感染症の再拡大により、日本での渡航制限や中国の都市封鎖が続いており、観測が実施できていない。そこで、先ず、中国の共同研究者から、過去に観測されたデータを取得のための交渉を行った。また、モデルシミュレーションの計算設定などの環境整備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
中国・北京においてタワーを用いた観測を実施する予定であったが、新型コロナウィルス感染症の拡大のため、日本からの渡航制限や中国の都市封鎖が続いており、現地に行くことが不可能であった。そのため、北京・大気物理研のタワーで観測されている放射や気象等のデータを取得するために交渉している。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルス感染症の拡大のため、日本の渡航制限や中国では都市封鎖が続いており、当分観測を実施できるめどが立たない。観測が実施できるまで、日本国内で鉛直方向に観測ができる施設等を検討中である。中国の共同研究者に、当初観測予定であったタワーにおいて過去に取得されたデータ等を解析に使用できるように交渉している。中国・日本で過去に観測されたデータを用いて、先ず放射・気象データでの解析を実施する予定である。モデルシミュレーションの検証には、観測データが重要であるが、WRF-Chem、NHM-CHem等を用いたモデル感度計算を実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症のため、日本での渡航制限や中国での都市封鎖が続いており、観測の実施が不可能であった。中国での観測が不可能である場合を考えて、先ず、中国共同研究者にこれまでに観測された気象データなどを依頼して、そのデータをもとにモデルシミュレーション解析を実施する予定である。また、現段階で中国での観測実施の目途が立っていないことから、日本で放射・エアロゾルの鉛直分布の観測を実施する検討を行っている。
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