研究課題/領域番号 |
21KK0200
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
草森 浩輔 東京理科大学, 薬学部薬学科, 講師 (90707407)
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研究分担者 |
西川 元也 東京理科大学, 薬学部薬学科, 教授 (40273437)
高山 幸也 地方独立行政法人神戸市民病院機構神戸市立医療センター中央市民病院(第1診療部、第2診療部、第3診療部, 中央市民病院, 薬剤師 (50914876)
板倉 祥子 城西大学, 薬学部, 助教 (20787387)
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研究期間 (年度) |
2021-10-07 – 2025-03-31
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キーワード | ヒトiPS細胞 / 膵島オルガノイド / 分化制御 / サイズ制御 / 細胞治療 / 糖尿病 |
研究実績の概要 |
本研究は、研究代表者と米国Cincinnati Children’s Hospital Medical CenterのJames M. Wellsとの共同研究により、ヒトiPS細胞由来膵島オルガノイドの分化過程におけるサイズ制御を介してインスリン産生細胞への効率的な分化誘導を試みるとともに、ヒトiPS細胞由来膵島オルガノイド移植による1型糖尿病治療を試みるものである。2022年度は、インスリン産生能の高いサイズの膵島オルガノイドの大量作製を目的に、マイクロウェルシートを用いた検討を実施した。アガロースまたはポリジメチルシロキサンを素材とする直径が約600 μmのマイクロウェルを900個有するシートを作製した。これまでと同様の方法でヒトiPS72.3細胞からpancreatic precursorを分化誘導し、マイクロウェルシートに播種することで細胞塊を形成させた。分化終点のStage 7まで培養し、膵島オルガノイドを回収したところ、平均直径が470 μmの均一なサイズを有する膵島オルガノイドを大量作製することに成功した。さらに、作製した膵島オルガノイドにおける遺伝子発現を免疫染色により評価したところ、膵内分泌マーカーであるpdx-1に加えて、インスリンやグルカゴンの高い発現が確認された。また、膵島オルガノイドは、グルコース濃度に応答して効率よくインスリンを産生した。現在、糖尿病モデルマウスへの移植による治療効果を確認中である。本研究で得られた結果は、マイクロウェルシートを用いることでサイズ制御した膵島オルガノイドを大量作製できることを示すものである。本研究に関わる成果は、第22回日本再生医療学会総会などの複数の学会において発表し、関係する内容の一部をBiotechnology Reports誌に公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マイクロウェルシート技術を応用することでサイズ制御した膵島オルガノイドの大量作製に成功し、作製した膵島オルガノイドが高い機能を示すことを実証した。これらの結果から、進捗状況はおおむね順調と判断した。コロナウイルスの影響や双方の都合により共同研究機関(アメリカ)での研究に従事できていないが、メール等で研究の進捗報告等はできており、問題はない。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、サイズ制御した膵島オルガノイドを用いて糖尿病モデルマウスにおける治療効果を評価する。具体的には以下の通り。 ・Pancreatic precursorを培養プレートから剥離し、直径約600 μmのマイクロウェルを多数有するアガロース製のシートに播種し、サイズを制御した膵島オルガノイドを大量作製する。 ・PCR法を用いて、サイズを制御した膵島オルガノイドの機能を評価し、各Stageにおける分化マーカーの発現量を評価する。 ・ストレプトゾトシン誘発性1型糖尿病モデルマウスの腎被膜下にサイズを制御した膵島オルガノイドを移植し、血糖値を指標に治療効果を評価する。 ・サイズを制御した膵島オルガノイドの機能化を目的に、移植後の生存期間を延長可能な血管構造付与や細胞シート化などを検討する。
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