研究課題/領域番号 |
21KK0234
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研究機関 | 京都府立大学 |
研究代表者 |
玉井 亮子 京都府立大学, 公共政策学部, 教授 (10621740)
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研究期間 (年度) |
2022 – 2024
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キーワード | 地方公務員制度 / フランス / 中央地方関係 / 都市政治 / 契約職員 |
研究実績の概要 |
近年、フランス公務員制度全体の改正とともに、フランス地方自治体幹部職任用と関係する改正も行われている。そこで2023年度は(1)契約職員の任用に関する制度改正、(2)フランスの都市における中央地方関係に関して、文献調査、ヒアリング調査、を実施した。(1)については、公務員制度変革に関する2019年8月6日法に基づく制度改正のなかで、地方自治体幹部職の任用について、従来と比べて自治体に契約職員任用の裁量権拡大がみられたことに注目した。その制度改正の要因とは、人口規模の小さい市町村の幹部職、一部の技術職等、多くの自治体において、一定の能力を備えた人材確保の困難さがあることを確認することが出来た。そのほか、契約職員が増加傾向にあることも確認している。地方自治体の幹部職員においても、正規職員のみを対象とすると、就任可能な者が見当たらないといった人材不足に悩まされている実態をつかむことが出来た。そこで、2010年代から2020年代における自治体幹部職任用に関わる制度改正にも言及しながら、論文を執筆、公刊した。 (2)については、2023年9月に、フランス現地調査を実施した。2000年代以降の都市自治体レベルにおける中央地方関係の変化、ボルドー市政における技術職員の活動の実態等に関して、政治学的な知見を得るため、ボルドー政治学院教授にインタビューを行うとともに、共同研究者と今後の調査の進め方等、対面で議論した。また2023年5月、日本行政学会共通論題Ⅰ「地方分権改革を再考する-分権決議30年」」に討論者として登壇した。地方自治体の政策立案上、中央政府による選抜的イニシアティブ強化といったフランスの中央地方関係で語られる論説の紹介も踏まえながら、日本の地方分権改革に関する論考に対する討論を担当した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
covid-19のため、当初の予定とは異なる期間とはなるが、2024年度の現地長期滞在に向けて、フランス現地研究者と定期的に連絡を取っている。2023年9月には、滞在予定先の研究機関を訪問し、共同研究者と対面で調査の方向性など検討した。今後、都市レベル自治体に対するヒアリングなどを実施予定であり、その対象者、質問項目について、現地研究者と調整を続けている。
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今後の研究の推進方策 |
文献調査に基づき、事例調査、分析枠組みの精緻化を図るとともに、研究成果の公刊を目指す。2024年度は代表者がフランスに滞在し、調査研究を行う予定であることから、引き続き、現地研究者との意見交換を定期的に行いながら、研究を進める。
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