研究課題
本研究では、知的障害者のライフコースとQuality of life(QOL)について、近接領域の海外研究者と共同研究を行うことで、QOLの特徴や支援の課題を明らかにする。2022年度は、国内においては、知的障害者(以下、本人)28名とその親から協力を得て、インタビュー調査を実施した。協力者には、知的障害が重度の人を約半数含み、本人からは部分的に回答が可能だった場合を含め14名から回答を得た。分析の途中経過として、18歳~40代の子を持つ13名の親の語りについて、子の学校時代の経験に焦点を当てて分析を行った。学校選択や入学後の環境要因(教師、クラスメイト、学校文化など)は、肯定的、否定的な経験の違いにつながっていることを明らかにした。国外調査は、COVID感染拡大防止措置等の状況を鑑み、オンライン調査を実施した。オーストラリアからは、本人5名と親1名から協力を得ることができた。デンマークについても、調査協力先との調整を続けたが、オンライン調査の協力者を得るには至らなかった。中間報告として、2022年10月に開催された特別ニーズ教育学会にて口頭発表を行った。また、2023年5月に行われるNordic Network on Disability Researchでの学会発表を予定している。これら調査と並行し、過去の研究で得たデンマークなど各国のインタビューデータの見直し、分析作業を行い、3月末のデンマーク渡航に向けて調査準備を進めた。また、共同研究者らと対面やメール等で、調査や分析の方針について議論した。国連障害者権利委員会の総括所見も踏まえ、教育を受ける機会、仕事や住まいなどの選択についての本人や親の経験をQOLとの関連で検討した。
3: やや遅れている
2022年度は本国際共同研究の基課題の調査である、オーストラリア、デンマークに渡航してのフィールド調査が実施できなかった。オンライン調査として一部実施したが、現地で協力者や関係者と直接コミュニケーションを図っての研究活動は実施できなかった。
2023年度は、デンマークにおいて当初の研究計画に基づいた研究活動を実施する。渡航後は、研究拠点や調査協力先を訪問し、本国際共同研究を実施する上での研究体制の整備と人脈形成を図る。また、共同研究者とのフィールドワークや研究内容の発表なども実施する。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件) 学会発表 (1件)
Journal of Intellectual & Developmental Disability
巻: 48 ページ: 23~39
10.3109/13668250.2022.2086109
Journal of Intellectual Disabilities
巻: First published online ページ: 1~25
10.1177/17446295221088706
精神科
巻: 41(1) ページ: 155~161