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2022 年度 実施状況報告書

情報共有が限定された社会的ジレンマにおける間接互恵性の計算科学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 21KK0247
研究機関国立研究開発法人理化学研究所

研究代表者

村瀬 洋介  国立研究開発法人理化学研究所, 計算科学研究センター, 研究員 (30709770)

研究期間 (年度) 2022 – 2023
キーワード協力 / 進化 / ゲーム理論 / 間接互恵
研究実績の概要

我々が日常的に出会う様々な問題の裏側には「個人が合理的にふるまった結果として社会的に望ましくない状態に至る」という社会的ジレンマが普遍的に存在している。社会的ジレンマを解決するメカニズムとしてはいくつかが提案されているが、「他社の評判」についての情報を共有することによって協力状態に至るメカニズムを間接互恵性という。
間接互恵の研究で最もよく知られた戦略として、"the leading eight(L8)"がある。各プレイヤーが持つ評判として Good/Bad の二値を取ると仮定し、全部で約 2000 通り存在する規範を網羅的に調べると、協力状態を高いレベルで維持する進化的安定状態(CESS)となるものはL8の8つしか存在しないことがよく知られている。しかし、L8 は前提条件として「評判が集団内で共有されていること」を仮定しており、これは現実社会においては成り立たないことが多い。近年、評判は個々の人々が持つと仮定した私的情報下での間接互恵性の研究が進展し、L8 が私的情報下ではノイズに弱く協力状態を維持できないことが明らかになってきた。この問題の解決方法を探るのが本課題の目標である。
ドイツ Max Planck Institute for Evolutionary BiologyのC. Hilbe氏のもとで約九ヶ月間滞在し、共同研究を行うことを予定し、昨年の10月より滞在を開始し、順調に研究が進展している。既存のモデルを拡張し、確率的に評判が更新され、さらにドナーだけでなく行動を受けたレシピエントについても評判が変わるモデルについての研究を行っている。このモデルに対して協力Nash均衡となるために規範が満たすべき必要十分条件を厳密に求めることに成功した。その成果は論文として投稿され、プレプリントの形で公開されている。また、その成果は学会やワークショップで発表されている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

研究は順調に進展し、渡航後、五ヶ月で最初の論文を準備し投稿することができた。
また基課題においても共同研究が進展し、論文を公開することができた。想定以上に共同研究がうまく進展している。

今後の研究の推進方策

まずは投稿中の論文を出版することに注力する。そして渡航期間が終わるまでに私的情報下のモデルをできるだけ進展されることを目指して研究を行う。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Evolution of direct reciprocity in group-structured populations2022

    • 著者名/発表者名
      Murase Yohsuke、Hilbe Christian、Baek Seung Ki
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 12 ページ: 18645

    • DOI

      10.1038/s41598-022-23467-4

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Evolution of global development cooperation: An analysis of aid flows with hierarchical stochastic block models2022

    • 著者名/発表者名
      Oishi Koji、Ito Hiroto、Murase Yohsuke、Takikawa Hiroki、Sakamoto Takuto
    • 雑誌名

      PLOS ONE

      巻: 17 ページ: e0272440

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0272440

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] A second-order stability analysis for the continuous model of indirect reciprocity2022

    • 著者名/発表者名
      Lee Sanghun、Murase Yohsuke、Baek Seung Ki
    • 雑誌名

      Journal of Theoretical Biology

      巻: 548 ページ: 111202~111202

    • DOI

      10.1016/j.jtbi.2022.111202

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] 間接互恵性における非バイナリ評価モデル:私的評価問題の解決をめざして2023

    • 著者名/発表者名
      村瀬洋介
    • 学会等名
      ゲーム理論ワークショップ 2023
    • 招待講演
  • [学会発表] Meta-modeling of an Agent-Based Social Network Model2022

    • 著者名/発表者名
      Yohsuke Murase
    • 学会等名
      4th International Workshop on Agent-Based Modelling of Human Behaviour (ABMHuB'22)
    • 国際学会
  • [学会発表] 間接互恵における 3 種のラベルを用いた場合の進化的安定戦略2022

    • 著者名/発表者名
      村瀬洋介, Minjae Kim, Seung Ki Baek
    • 学会等名
      日本数理生物学会 2022
  • [学会発表] Successful social norms in indirect reciprocity with ternary reputations2022

    • 著者名/発表者名
      Yohsuke Murase, Minjae Kim, Seung Ki Baek
    • 学会等名
      Roles of Heterogeneity in Nonequilibrium Collective Dynamics 2022 (RHINO2022)
    • 国際学会
  • [学会発表] Successful social norms in indirect reciprocity with ternary reputations2022

    • 著者名/発表者名
      Yohsuke Murase, Minjae Kim, Seung Ki Baek
    • 学会等名
      Conference on Complex Systems 2022
    • 国際学会

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公開日: 2023-12-25  

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