研究課題/領域番号 |
21KK0261
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
増田 勇人 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 講師 (90781815)
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研究期間 (年度) |
2022 – 2024
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キーワード | 異常輸送 / Formulation engineering / 相変化 / 非平衡熱力学 / テイラー渦流 / 液滴 |
研究実績の概要 |
非平衡・非定常下において発生する熱・物質の高速輸送現象(異常輸送)の速度論の構築ならびに物質生産への応用を目指し,系に加えられて揺らぎによる流動および熱・物質移動特性について実験・数値解析の両面から研究を行っている。2023年度は流動を伴う相変化現象を対象として,凍結あるいは沸騰・蒸発現象時における高速で起こる熱・物質移動現象のモデル化を試みた。特に液滴が高温面上に接触した際に起こる膜沸騰状態(ライデンフロスト状態)について,City University of Hong Kongに滞在し,現象の解析とモデル化を行った。液滴物性の影響を検討するために,高分子や水溶性の溶質を溶かした液滴を対象として,高温面に衝突した際のダイナミクスを詳細に調査した。その結果,液滴ダイナミクスは溶質の種類よりも濃度の方が支配的なパラメータであることがわかった。今後,蒸発に伴い形成される粒子構造体のモルフォロジーを観察し,物質の構造形成プロセスにおける異常輸送現象の影響を検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験手法の構築や数値解析モデルの開発など,順調に進行している。ただし,相変化に伴う混相流シミュレーションを行う必要が生じてきたため,渡航先を新たに追加し,数値解析技術の進展を目指す。
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今後の研究の推進方策 |
これまでは相変化によって生じる,気泡や水滴(液滴)などを固体粒子と仮定し,界面での熱・物質移動現象については考慮できていなかった。しかし,食品のような複雑物質の内部構造およびその形成仮定までもを対象とする場合,混相界面での現象は無視できない。そこで新たに混相流シミュレーション技術の先端研究を行っている機関を渡航先に追加し,非平衡・非定常下での数値シミュレーション技術の進展を目指す。まず,複雑流体中に分散する単一の気泡や液滴の界面形状を正確に補足するためのモデル開発,さらにせん断流中における気泡・液滴ダイナミクスの数値シミュレーションに着手する。
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