研究課題/領域番号 |
21KK0265
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
谷川 美頼 浜松医科大学, 医学部, 特任助教 (50553658)
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研究期間 (年度) |
2022 – 2024
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キーワード | グルタミン / TORC1 / ラパマイシン / 栄養検知 |
研究実績の概要 |
これまでに酵母においてPib2が、グルタミンを検知してTORC1を直接活性化することを明らかにしてきた。本研究は、植物のFYVE1/FREE1がPib2と類似の構造を持つことに着目し、FYVE1が植物においてもグルタミン応答性のTORC1活性化に関与するのかについて明らかにするべく行った。まず、FYVE1が酵母のPib2と同様に、グルタミン存在下でTORC1と相互作用するか否かを検討した。その結果、in vitroにおいてFYVE1はTORC1と結合すること、さらにこの結合はグルタミンの添加によって増強されることが明らかになった。このことから、FYVE1はグルタミン依存的にTORC1と相互作用することが示唆された。次に、FYVE1のC末端にあるPib2のTORC1活性化モチーフと相同の領域が、FYVE1のTORC1活性化能に重要であるか否かを検討するため、この領域を欠損させたFYVE1変異体を過剰発現するシロイヌナズナの形質転換体を作成した。その結果、FYVE1変異体の過剰発現体ではグルタミン応答性のTORC1活性化が阻害されており、この変異体がドミナントネガティブ変異体として振る舞うことが明らかになった。このことから、FYVE1のC末端領域がTORC1の活性化に重要な働きを持つことが示唆された。以上の結果から、植物のFYVE1は、酵母のPib2と同様に、細胞内のグルタミン濃度を感知してTORC1を活性化する役割を担っていると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
FYVE1のC末端を欠失したアラビドプシスの形質転換体を作成することに成功し、期待した通りにドミナントネガティブ変異体として振る舞ったため当初の予定よりも順調に研究が進んだ。
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今後の研究の推進方策 |
FYVE1はグルタミンに応答してTORC1と結合することが明らかになったため、今後は様々なグルタミン濃度でテストして解離定数を求め、Pib2のそれと比較したい。またFYVE1にTORC1を直接活性化する機能があるのかを明らかにするためにin vitroのkinase assayを行いたい。
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