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2022 年度 実施状況報告書

ゲノミクスと果実フェノミクスに基づく倍数体果樹育種の新展開

研究課題

研究課題/領域番号 21KK0269
研究機関京都大学

研究代表者

西山 総一郎  京都大学, 農学研究科, 助教 (50827566)

研究期間 (年度) 2022 – 2024
キーワード果樹 / 育種 / 倍数性 / 機械学習 / ゲノム
研究実績の概要

本研究は倍数性ゲノミクス/植物フェノミクス/カキ属遺伝資源の分野でユニークな取り組みを行っている3名の研究者と協力して行うカキ (柿) のゲノム・果実生理・育種に関する国際共同研究である。この枠組みの中で、研究代表者は2022年9月からアメリカのカリフォルニア大学デービス校に滞在している。本年度は主に以下の3点の成果を得た。
1. 工業用3Dスキャナーを用いることで、カキ果実の高精度モデリングが可能であることを確認した。京都大学所有の遺伝資源を用い、カキ51品種から生育期間を通して合計2380の果実3Dモデルを得た。カキ果実における溝、座等の複雑形状を計測する手法を確立し、トランスクリプトーム解析も適用して複雑形状の決定メカニズムを解析した。その結果、溝形状の多様性を規定する鍵因子の候補としてYABBYのホモログを同定した。
2. Pacbioを用いて六倍体カキの全ゲノムシーケンスを得た。ハプロタイプレベルのアセンブルを目指したが、当初のアセンブルでは6つのゲノムのうち5つしか正確にアセンブルできなかった。得られた配列を用いて甘渋性決定領域の多様性解析を行った。
3. 樹体の形状計測手法の開発に着手した。アメリカのワイン用ブドウ圃場をモデルとして用い、位置情報と関連付けられた大規模な画像データを取得した。また実際の圃場において、栄養生長情報を含むデータを座標ラベル付きで取得した。形状計測を可能とする新たな機械学習アーキテクチャの開発を進めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

カキ果実における複雑形状の計測方法を確立し、遺伝資源を用いた多様性解析を完了した。また、アメリカへの滞在開始後、共同研究者の協力によりブドウ圃場での実験が可能になり、当初想定よりもはるかに高品質で大規模なデータが得られた。これらは将来的にカキにも適用可能な、汎用性の高い樹体計測手法の開発に用いることができる。ゲノミクスについてはやや難航しているが、トランスクリプトームデータを追加で得ることを計画しており、これを用いて倍数体カキゲノムの理解に繋げたい。

今後の研究の推進方策

これまでの取り組みで、倍数性栽培カキの果実における複雑形状の計測と、多様性を制御する有力候補遺伝子を同定した。今後はこの候補遺伝子の機能解析を進めるとともに、果実生長を経時的にモニタリングできる手法の開発を進める。ゲノミクスについては、アセンブルのパラメータを見直し、精度の向上を図るとともに、新たにIso-seqによるトランスクリプトームデータを取得してカキゲノムの理解に繋げる。さらに、滞在先の共同研究者との協力のもと、引き続き樹体計測手法の開発に取り組み、これを完成させる。

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公開日: 2023-12-25  

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