研究課題
乳癌のオンコプロテインの1つであるリン酸化YB-1発現がトリプルネガティブ乳癌(TNBC)で増加していることを報告した。さらに、リン酸化YB-1阻害によりERα発現が上昇しERα標的薬に対する感受性を獲得することを明らかにした。さらに、リン酸化YB-1阻害薬がTNBC細胞株マウス同所移植腫瘍内のがん細胞及び間質細胞のERα発現に影響することを観察している。しかし、間質細胞のERα発現上昇が腫瘍の増殖に関与するか否か明らかでなかった。そこで、米国Cedars-Sinai Medical CenterにおけるKenneth Bernstein研究室において研究を行い、以下について明らかにすることが出来た。①TNBC細胞株同所移植モデルを用いた検討により、YB-1リン酸化標的薬とERα標的薬の併用効果について検討を行ったところ、相乗的な効果があることが観察された。②がん微小環境中の細胞群の中でマクロファージにおいてリン酸化YB-1阻害薬によりERα発現が増加することがフローサイトメトリー解析により観察された。③TNBC腫瘍を回収し凍結切片を作成後、蛍光免疫染色を行った。その結果、腫瘍内の腫瘍促進的マクロファージ(M2マクロファージ)においてERαが発現しており、リン酸化YB-1阻害薬によりその発現が上昇していることが観察された。④マウス腹腔内よりマクロファージを単離し、腫瘍促進的マクロファージ(M2)への分化実験を行った。その結果、YB-1リン酸化標的薬はM2マクロファージのERα発現を誘導し、ERα標的薬はM2マクロファージの生存を抑制することが明らかになった。以上の結果から、リン酸化YB-1標的薬は癌細胞だけでなく腫瘍促進的マクロファージのERα発現に関わり、両者のERαを標的とすることでYB-1リン酸化標的薬はERα標的薬の抗腫瘍活性を増強していると考えられる。
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