研究課題/領域番号 |
21KK0279
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
麓 伸太郎 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 准教授 (70380988)
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研究期間 (年度) |
2022 – 2024
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キーワード | 遺伝子・核酸工学材料 / 粉末製剤 / 経肺ワクチン |
研究実績の概要 |
新型コロナウイルスのような新興感染症のパンデミックに対応するためには、迅速なワクチン開発が求められる。呼吸器である肺は常に外環境に曝されており、感染症防御対策として経肺投与型ワクチンは高い有効性が期待される。本研究では、新興感染症に対応し得るワクチンプラットフォームとして、粉末化脂質・炭酸カルシウムナノ粒子の開発を目指す。当該ナノ粒子は、細胞内に取り込まれた後、内包するタンパク質・核酸・遺伝子を細胞質へ放出するようにデザインされており、効率的な細胞性免疫の惹起が期待される。当該ナノ粒子を粉末化することで、吸入可能な経肺投与型ワクチンとなることが期待される。本研究では、噴霧乾燥および経肺投与型ワクチンの実績を有する海外研究者(ニューメキシコ大学Dr. Muttil)と国際共同研究を行う。 これまでに、タンパク質としてスーパーオキシドディスムターゼを含有する脂質・炭酸カルシウムナノ粒子の調製方法を報告している。このスーパーオキシドディスムターゼをモデル抗原であるオボアルブミンに置き換え、同様にナノ粒子を調製可能であることを見出した。マイクロ流体デバイスを利用することで粒子径の縮小を図ることもできた。また積み荷としてプラスミドDNAを搭載した脂質・炭酸カルシウムナノ粒子の調製にも成功している。なお、調整するべき因子数が多く、実験計画法(決定的スクリーニング計画および中心複合計画に基づく応答曲面法)を活用している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの脂質・炭酸カルシウムナノ粒子ではカチオン性脂質を利用していたが、カチオン性脂質を含むと酸化ストレスの惹起や細胞毒性が問題になる可能性があるため、カチオン性脂質を含まない脂質・炭酸カルシウムナノ粒子の開発にも取り組んでおり、そのようなナノ粒子も調製できることを予備的に明らかにしている。
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今後の研究の推進方策 |
カチオン性脂質を含まない脂質・炭酸カルシウムナノ粒子の調製法を確立し、調製したナノ粒子の粉末製剤化に取り組む。粉末製剤化の方法として、スプレードライ(噴霧乾燥法)と噴霧凍結乾燥法がある。これらを物理化学的性質および効果発現効率の観点から比較し、脂質・炭酸カルシウムナノ粒子に適する粉末化法を明らかにする。
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