研究課題
前年度に引き続き、北西太平洋シャツキー海台の北西の海域Aおよび南東の海域Bにおける海底長期観測を継続した。平成26年6月に実施した傭船(00C(株)の作業船「かいゆう」)による観測航海により、海底下浅部構造の解明を目指して火薬を用いた制御地震探査実験を実施した。実験終了後、A海域に設置した自己浮上型機器(広帯域海底地震形BBOBSおよび海底電磁力計OBEM)の大半を回収した。さらに9月9日から10月2日にかけて実施した研究船「かいれい」の航海で、無人探査機「かいこう700011」を用いた潜航作業を実施して、A海域に設置してあった新型の機器(6台のBBOBS-NXおよび3台のEFOS)の回収に成功した他、A海域とB海域において観測を継続していたすべてのBBOBSとOBEMを回収した。これにより、本研究の長期観測は完了した。今年度の2航海で回収したデータと、平成25年度までに回収したデータの統合解析を行った。海域Aと海域Bの平均海洋底年代はそれぞれ一億三千万年および一億三千五百万年とわずかな違いしかないので、両者からはほぼ同じマントル構造が得られるものと予想された。しかし、解析の結果はこのわずかな年代の違いではとても説明し難い程の大きな違いが、地震波速度構造および異方性と電気伝導度構造について明らかになった。さらに以前の観測で得られているより海溝に近いマントルの電気伝導度構造との比較も行い、「ふつう」の海洋マントルに年代(リソスフェアの冷却)だけでは説明のつかない強い不均質が存在することがより確かなものとなった。また、新型機器(BBOBS-NXとEFOS)の回収により、さらに深部のマントル遷移層の構造探査も行った。さらに、地震波から得られる情報(実体波トモグラフィーによる速度構造とレシーバ関数解析により得られる410kmと660kmの不連続面の間隔)と電気伝導度構造の情報を組み合わせることにより、遷移層の温度構造と含水率を推定する方法を考案した。解析の結果、本研究対象海域下のマントル遷移層に存在する水の量は、0.1wt.%程度を上限とする程度であることがわかった。また、本研究グルーが主催して、「ふつうの海洋マントル」に関する国際シンポジウムを平成27年3月4日~6日の3日間、宮城県松島町のホテル松島大観荘を会場として実施した。シンポジウムでは、本研究からの成果が発表されたことに加え、観測・データ解析・室内実験・モデリングなど様々な手法で「ふつうの海洋マントル」を研究する内外の研究者により、合計28件の口頭発表と31件のポスター発表があり、活発な議論が行われた。
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すべて 雑誌論文 (23件) (うち査読あり 23件) 学会発表 (40件) (うち招待講演 7件) 備考 (2件)
Proc. Japan Acad. Ser. B
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